秘密を持つ船の上で繰り広げられるスパイ&ミステリー小説。
キツネとタヌキの化かし合いよろしく、騙し騙され犯人像が二転三転していきます。沢山の人物が登場したので、人物相関図をメモしたほうがいいかしら?と思いましたが、人物が多い割には内容がスラスラ頭に入ってきて読みやすかったです。
上下二段組で約250頁ある単行本なので、ボリュームがありますが、飽きることなく一気読みしてしまいました。船上での敵味方の腹の探り合い、誰が敵で誰が味方か、ハラハラする展開が繰り広げられますが、最後は収まるところに収まったようで。
フィクションでありながら、実際にあった話ではないのか?と思わせるあたり、さすがは歴史ファンタジーの桑原先生ですね。
人間関係やミステリーの謎解きやそれぞれの登場人物のストーリーなど、内容が多くて、作中では桑原水菜先生独特の詩的心情描写がなかなか書かれていなかったのですが、最後の1〜2頁に詩的心情描写が詰まっていたので満足です。桑原水菜先生のこの詩的心情描写、好きなのよね。
人間模様や歴史的背景、入り混じる人間の業。
沢山詰め込んでいるのに消化不良にならないのは、桑原水菜先生の力量なのでしょう。
この作品の結末、ベストエンドか、グッドエンドか、バッドエンドか。いろいろ考えましたが、結論は出せませんでした。それぞれの登場人物にそれぞれの事情があるので、それらをまとめてバッドエンドだ、ベストエンドだと言ってしまうのは、乱暴な気がしたので。
船上のスパイ小説が好きな方にお勧めしたい本です。
