久しぶりに三浦しをんさんの本を読んでみました。
おんぼろアパート木暮荘で暮らす4人の日常を描いた連作短編集です。
1話目に出てくるちょい役の女性が7話目の主人公になっていて、同じ時間軸を別のアングルで捉えている様が面白かったですね。
かといって、1話目の主人公が7話にしゃしゃり出てくることは無く、あくまで脇役というさじ加減が絶妙でした。
おんぼろアパートで暮らすのは、大家の老人男性とペットの犬、女子大生、花屋の女店員、男性会社員の4人と一匹。
どこにでもいる普通の人々に見えると同時に、どこか変わっている人々でもあります。犬は普通です。
この作品を読むと、普通ってなんだろうな?と考えさせられます。
安普請なアパートゆえ、隣の部屋の音が丸聞こえだったり、穴が開いていたりと、プライバシーに欠けますが、それゆえ、住人に連帯感が生まれたり、生きていくうえでの潤いにもなったりしています。不思議な縁ですね。
個人的に好きな作品は、「穴」と「嘘の味」。
「穴」は、男性会社員が2階の床に開いている穴から、1階に住んでいる女子大生を覗く話。
変態の話でありながら、なぜか変態に思えず、不思議な感じがします。
最後の女子大生と男性会社員のやりとりがツボでした。
「嘘の味」は、木暮荘で暮らす花屋の女店員の元カレと、花屋の女店員を気に入っている謎の女性の話。
日常生活を淡々と描きながらも、ミステリー調で一気読みしてしまいました。
その後、元カレと謎の女性、どうなったのかなぁ。気になりつつも、読者の想像にまかせて欲しくもあり。
久々の三浦しをんワールド、楽しめました。
