2年前に新刊が出て、読もう読もうと思いつつ、先延ばしになっていた文庫本。
2週間かけて、じっくり読みました。

今回の「丕緒の鳥」は、十二国記シリーズの短編集になります。
ひさしぶりに十二国記シリーズを読みましたが、この重量感がたまりません。
フィクションなのに、細部に渡る緻密な設定により現実世界よりもリアリティがあって、伝記を読んでいる錯覚さえします。

「丕緒の鳥」には、表題作の他、「落照の獄」「青条の蘭」「風信」の4編が収録されています。
どの話も主人公は無名の下級役人です。
権力も財力もないけれど、国や民を想う気持ちのある男たちが、悩み苦しみながらも一途に己の使命を全うする姿に心打たれます。
プロジェクトXの十二国記版とでも言いましょうか。名もなき男たちの熱いドラマがここにあります。

「風信」は読んでいて最後涙が出そうになりました。
絶望・不安の渦巻く世界に見せた、小さな小さな希望の兆し。健気に生きる雛の姿。
緊張感に包まれた空気が、ふっと和らぐ瞬間にあふれる涙に感情移入してしまいました。

どの話もガツンとくる重さがありますが、その重さが彼らの存在感を引き立たせている気がします。
久しぶりにガッツリ読んだと感じた作品でした。