綾櫛横丁加納表具店の最終巻です。
今回もいろいろな妖怪たちが登場します。
鵺、天邪鬼は初登場、雪女は再登場ですね。
連作短編集なので、それぞれお話は別ですが、
今回は主人公である洸之介の進路が一貫したテーマでした。
表具師である師匠の環さんに弟子入りしてから1年半経つのに、
基本的なことさえ知らなかったことにショックを受ける洸之介。
それまで、洸之介は母子家庭だからと実家から近い大学を受験し、
卒業したら一般企業に就職して、母親を支えようと思っていたけれど、
徐々に洸之介が自分自身の気持ちに気づいていき…。
個人的には納得のラストです。
表具師と一言でいっても、表具を直すだけでなく、
虫食いで欠損した部分に紙を補ったり、シミや汚れを取り除いたり、
様々な作業があるのですね。
知らないことが沢山あって、勉強になりました。
印象的に残ったのは、洸之介の師匠である環さんの言葉です。
「自分にできることとできないことをしっかりと見極めて、
自分にできることはきっちりとやり、できないことは未来に託すしかないね。
いつか、新しい技術が生まれて、本紙を傷つけることなく、
汚れだけを落とせるようになるかもしれない。
そんな未来にまでこの絵が残るように、今できる手を尽くす。それが私たちの仕事なのさ」
できないことを無理にやろうとして、本紙を傷けてしまっては、本末転倒になってしまう。
そのジレンマを、環さんは何度も体験したからこそ言える言葉なのでしょうね。
「自分にできることとできないことを見極め、できることはきっちりとやる。」
頑張りすぎて、できないことも何とかしようとする癖があるので、
心に留めておきたい言葉です。
