タイトルに惹かれて手にした本。
「雪花草子」は、
美しき夜叉が登場する「白薇童子」、
過って将軍の息子の愛猫を殺してしまったことから起こる悲劇を描いた「鬼茨」、
「とりかえばや物語」を彷彿させる「蛍火夜話」の3編の短編からなっています。
個人的に好きなのは、「白薇童子」です。
ただ耽美というだけではなく、人間(夜叉を含む)の愛憎や心の機微を細かに描いているところも読みどころの一つです。
長野まゆみさんの作品は好きでよく読みますが、この作品はノーチェックでした。
2年前に文庫化されていたので、
「左近の桜」「咲くや、この花」の耽美系を汲んでいるのかと思いきや、
20年も前に書かれた作品だったのですね。
20年経った今でも、瑞々しさが失われず、美しい幻想的な耽美小説です。
良くも悪くも純粋無垢な少年たちを書いていた時期に、
このような異色な作品を書いていたのには、正直驚きました。
20年前に読んでいたら、おそらくこの作品の良さは理解できていなかったと思います。
20年経った今だからこそ、この耽美さ、美しさ、儚さがわかるのではないかと。
内容は、近親相姦、同性愛、SM、両性具有、輪姦、糞尿、愛憎など、エログロな話ばかりなのに、
長野まゆみさんの手にかかると、美しくも妖しい奇譚になってしまいます。
なんとも日本語が美しい。そして、幽玄な世界を紡いでいます。
長野まゆみさんの日本語が綺麗だからか、エログロも上品かつ綺麗に見えてしまうのが不思議です。
違和感なくさらりと読んでしまいましたが、よくよく考えてみると、かなりエロくてグロいです。
犬の糞を食わされそうになった親友の代わりに、少年が犬の糞を食い、
糞を吐き出したその口に親友が接吻するなんて、グロいと言わずになんという(苦笑)。
しかし、長野さんはそれを純愛に仕立ててしまう。
まあ、人によっては敬遠してしまう人もいるでしょう。
人それぞれ、好みがありますから。
長野まゆみさんの「左近の桜」を読める人に、おすすめしたい本です。
