表紙絵の素朴さと、コーヒー豆と和食器の店を営むおばあちゃんの推理ものに惹かれ、手に取った本です。

洋菓子店や和菓子屋、古書店、コンビニ、カフェなど、ミステリーを解く居場所は数あれど、和食器のお店は初めてでした。

初めは、主人公が数えで75歳のおばあちゃんなので、お店の中で推理をして、解決してしまうのかと思いましたが、
草おばあちゃんは行動派で、現場を何度も見に行って調査をしたり、行方不明になった知り合いを探しに行ったり、
書き残されたメモを見て神社へ急行したりと、行動力のあるおばあちゃんです。元気ですね。

それでも、雪かきで体中湿布を貼ったり、深夜の張り込み(?)を徘徊と間違えられたりして、
「またひとつ確実に老いた」「寄る年波には勝てないわ」と語る草おばあちゃんがなんともせつないです。

文庫本に5つのお話が収録されており、1つめの話を読むのに数日かかってしましましたが、2つめ以降は一気読みでした。
状況設定やら、人物把握ができたら、すらすら読めます。

どの作品も趣向を凝らしたミステリーというより、
日常のどこにでも潜んでいそうな闇に適度に関わるミステリーという印象を受けました。

行動派なのに、適度に関わるとは、一見すると矛盾しているようにも思えますが、
そこは、人生経験から学んだ草おばあちゃんの人との距離の取り方かもしれません。

個人的には4つめの「悪い男」の話が好きです。
不器用な優しさで、周りから誤解されても、大事なものを守りぬこうとする。
もっといい方法はなかったのかしら、と思いながらも、その不器用さを愛おしく感じます。

「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズは、刊行済みの第二弾もあるので、
草おばあちゃんの今後の活躍が楽しみです。