この本を知ったきっかけは、某カード会社の冊子のBOOK紹介でした。
なんかよさげだな、と思いながらも、初めましての作家だったので、図書館で借りようと予約待ち半年以上。やっと借りることができました。人気の本なのですね~。

読んでみて、人気があるのがわかりました。
面白いし、ほっとするし、優しいし、あたたかい。
先に、「猫と私の七日間」に収録されているスピンオフ作品を読んでいましたが、本編を読むとさらに店主のこと、お店のこと、社長という名の猫のことがわかります。

もちろん、本書とスピンオフ作品のどちらを先に読んでもわかるようになっています。

内容は、明日町こんぺいとう商店街にある、1日100円でなんでも預かるお店とお客様との話です。

いろいろワケありのお客様が来店されます。
小学生や、高校生、罪を犯した人、社長、おばあさん。
お客様それぞれにストーリーがあり、それぞれがいろいろな思いを抱えながら、モノを預けていきます。

5編の短編+エピローグで構成されていて、
「あずかりやさん」
「ミスター・クリスティ」
「トロイメライ」
「星と王子さま」
「店主の恋」
です。

「ミスター・クリスティ」は、中学受験の入試問題に採用された作品で、クリスティという名の自転車と持ち主の話です。
この話が入試に出たら、私、問題そっちのけで物語を読みふけってしまうこと間違いなしです(笑)。

優しさゆえの決断。
ほかに守らなければならないものがあったので、やむを得ず手放すことになった自転車。

高校生は高校生なりに、いろいろと考えているのですね。

私が心に染みたのは、「トロイメライ」。
この話は、伏線が多く、最後に全ての謎が解けるミステリー(?)のような作品です。トロイメライの記述がなく、何ゆえトロイメライ?と思いながら読んでいたら、最後の最後でトロイメライ登場。

ただモノを預かるだけでなく、店主の誠実さがお客様の心を癒して、前向きにさせていく。
人の心を動かすのは、正論でもお金でもなく、仕事に対する姿勢だったことに、思わず自分自身を顧みてしまいました(笑)。

大切なモノを預けたい相手、つまり信頼に足る相手に巡り会えた社長は、安心して旅立てたことでしょう。

5編の短編は、個々のストーリーであると同時に絡みあってもいるので、とある謎が別のストーリー中に解けたりします。
一度ならず、何度も読み返したくなります。

店主がストーリーを語るのではなく、のれんや、戸棚や、猫や、自転車がストーリーを語る手法は、面白いです。
いつか、トロイメライのオルゴール嬢も語りはじめて欲しいな。