最近、何かを「守る」ことに惹かれ、二冊続けて「守人」の本を読んでみました。

何を守るかについては、こだわりがなかったので、「花守」と「櫻守」を選びましたが、偶然にも両方とも桜の守人(一冊は守鬼)の話でした。

「櫻守」の作者は水上勉さん。「ブンナよ、木からおりてこい」で有名な方ですね。
水上勉さんは、平成16年に鬼籍に入られており、「櫻守」は昭和44年に刊行された作品です。

「櫻守」の要旨は、
桜のことなら日本で一、二を争う研究家で、桜一途に生きてきた竹部庸太郎の元で働くことになった庭師の話です。
この庭師の弥吉は、竹部に教わりながら、感化されて桜の保護育成に目覚めていき、48歳で死ぬまで桜を愛し続けていきます。
そして、死後は弥吉の愛した「海津の桜」のもとにある共同墓地に埋めて欲しいとの遺言どおり、弥吉の遺骨は「海津の桜」の共同墓地に埋められて、話が終わります。

何かを一生かけて愛し続けることの美しさ、そのために労力を惜しまず、無償で手入れをする熱心さ。

戦時中、戦後と様々な苦難に遭いながらも、それでも尚愛するもののために奮闘する行動力。

ただただ、桜に一生を捧げた二人の生き様に脱帽する限りです。

ちなみに、弥吉の雇い主である竹部庸太郎は、神戸市の桜学者、笹部新太郎氏がモデルになっているとのことです。

弥吉の遺骨が「海津の桜」の共同墓地に埋められたことを読んで、ある話を思いだしました。

桜が美しく咲くのは、根元に死体が埋まっているからだという話を。なんとなく薄気味悪い感じがしましたが、「櫻守」を読んで違うイメージが浮かびました。

桜の根元に埋めて欲しいと願うほど桜を愛し、その愛が桜を美しく咲かせているのではないかと。


今年は、桜の手入れをしている方々に感謝しつつ、桜を愛でてみようと思います。