「春になったら苺を摘みに」は、梨木香歩さんの初エッセイのタイトルです。

梨木さんが学生時代をすごした、英国の下宿先の女主人ウェスト夫人と様々な住人たちとの交流を通して、彼女が感じたこと、考えたことなどを綴ったエッセイです。

タイトルが英国っぽいな~、と感じたら、ウェスト夫人から梨木さん宛の手紙の一節でした。

日本だったら、「春になったら桜を愛でに」でしょうね桜

英国の下宿の体験談かと思いきや、深いです。何がって、内容が深いんです。

ああ、彼女の中から「西の魔女が死んだ」が生まれたのも納得です。


「ただひたすら信じること、それによって生み出される推進力と、自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけることによる負荷。
相反するベクトルを、互いの力を損なわないような形で一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか。その人間の内部を引き裂くことなく。豊かな調和を保つことは。」(「子ども部屋」の章より抜粋)


下宿先で出会った様々な人との交流録の中に、梨木さんの思想や思考が垣間見える素敵な作品です。


新潮文庫
「春になったら苺を摘みに」
梨木香歩 著