ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini/出生名:Enrico Nicola Mancini/1924年4月16日 - 1994年6月14日)は、アメリカ合衆国の作曲家、編曲家。映画音楽家としてグラミー賞、アカデミー作曲賞に何度も輝いた。

 

 

 

1924年4月16日、エンリコ・ニコラ・マンチーニは、アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド生まれ、ペンシルベニア州で育った。イタリア系アメリカ人。

幼い頃より、フルート奏者の父親からフルートとピッコロの英才教育を受けた。

ハイスクールを卒業後、ベニー・グッドマンの勧めでニューヨークへ移住する。

名門ジュリアード音楽院に進学し、作曲家マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコとエルンスト・クルシェネクに師事した。

第二次世界大戦では空軍に所属し、マーチングバンドでも活躍した。

その後、テックス・ベネキーに作品を認められ、グレン・ミラー楽団にアレンジャー兼ピアニストとして採用される。

1952年にユニバーサル映画に入社する。音楽監督のジョセフ・ガーシェンソンのアシスタントとして修行しながら、アボットとコステロの喜劇や『大アマゾンの半魚人』等のB級ホラー映画の劇伴を手がけた。

 

 

1954年、映画『グレン・ミラー物語』(The Glenn Miller Story)の音楽を担当。

 

 

1958年、オーソン・ウェルズ監督の映画『黒い罠』(Touch of Evil)の音楽を担当。

 

9月22日~1961年9月18日、米国の私立探偵もの連続テレビドラマ『ピーター・ガン』 (Peter Gunn) の音楽を担当。サウンドトラック・アルバムは米音楽誌『ビルボード』(Billboard Magazine)LPチャート「Billboard 200」(以下「全米」)で1位を記録するヒットとなった。ドラマのテーマ曲“ピーター・ガンのテーマ” (Peter Gunn) は、『ビルボード』誌の総合シングルチャート「Billboard Hot 100」(以下「全米」) 第8位、R&Bチャート12位まで上昇した。マンチーニ自身この曲を何度も異なるバージョンで録音し、また多くのジャズやロックのミュージシャンによってもカヴァーされた。

 

 

1961年10月5日、オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn/1929年5月4日-1993年1月20日)主演のブレイク・エドワーズ監督作品『ティファニーで朝食を』(Breakfast at Tiffany’s)が公開。マンチーニは音楽を担当したが、特にヘプバーンが歌った“ムーン・リバー”(Moon River/作詞:ジョニー・マーサー)は全米11位・『ビルボード』誌「アダルト・コンテンポラリー」チャート(以下「AC」)1位とヒットし、スタンダード・ナンバーとなった。

 

 

 

 

1962年12月16日公開のブレイク・エドワーズ監督映画『酒とバラの日々』(Days of Wine and Roses)の音楽を手掛け、同名のテーマ曲“酒とバラの日々”(Days of Wine and Roses/作詞:ジョニー・マーサー)は、アカデミー賞「歌曲賞」を受賞、歌のバージョンは1963年アンディ・ウィリアムスのレコード録音がヒットし、全米26位・AC9位を記録、マンシーニが指揮するオーケストラバージョンも全米33位・AC10位とヒットした。ジャズのスタンダードとして多くの歌手がアレンジを凝らし歌い上げている。

 

 

 

 1963年12月5日、ケーリー・グラントとオードリー・ヘプバーンが主演したアメリカ映画『シャレード』(Charade)が公開。監督はスタンリー・ドーネンだったが、音楽はマンシーニが担当した。

 

 

1964年3月20日、アメリカのコメディ映画『ピンクの豹』(The Pink Panther)が公開。日本では約1カ月早く2月29日に封切りされた本映画は、「クルーゾー警部」、「アニメキャラクターのピンクパンサー」、主題曲“ピンク・パンサーのテーマ”(The Pink Panther Theme)の3大ヒットを生み出した、20世紀後半を代表するコメディ映画の大ヒットシリーズの伝説的作品として知られる第1作。本作もまた、監督エドワーズと音楽マンシーニによる作品である。

 

 

1967年4月27日、オードリー・ヘプバーン主演、スタンリー・ドーネン監督の映画『いつも2人で』(Two for the Road)が公開、マンシーニが音楽を手掛けた。実は当初、マンシーニは多忙を理由にドーネンからの依頼を一度断ったが、ヘプバーンから直接頼まれたため引き受けたという。その甲斐もあり本作は、ヘプバーンにとって代表作のひとつとなった。

 

 

10月26日、オードリー・ヘプバーンが主演したアメリカ合衆国のサスペンス映画『暗くなるまで待って』(Wait Until Dark)の音楽を担当。監督はテレンス・ヤング。

 

 

1968年2月20日~2003年1月30日、アメリカのサスペンス・テレビ映画シリーズ『刑事コロンボ』(Columbo)が放映。全69話。マンシーニが音楽を手掛けた本シリーズは日本において、アメリカで1968~1978年にNBCで初放映された45本は『刑事コロンボ』、アメリカ初放映が1989~2003年のABCによる24本は『新・刑事コロンボ』との邦題で放映された。なお、マンシーニが作曲したテーマ曲“Mystery Movie Theme”は、日本では『刑事コロンボ』シリーズのテーマ曲として知られているが、本国アメリカでは本来、『刑事コロンボ』をはじめ『警部マクロード』、『署長マクミラン』等も放送していた「NBCミステリー・ムービー」枠全体の共通テーマ曲である。

 

 

1969年、"Love Theme from Romeo and Juliet"をマンチーニの楽団が演奏、全米1位・AC1位をマークする大ヒットとなった。

 

 

1970年3月13日、イタリア・フランス・ソビエト連邦・アメリカ合衆国による映画『ひまわり』(イタリア語原題: I Girasoli /英題:Sunflower)がイタリアで公開。ヴィットリオ・デ・シーカ監督、ソフィア・ローレン主演の本作は、数多くの映画音楽をマンシーニが手掛けた中でも特に評価が高い作品で、主題曲は世界中でヒットした。

 

 

6月24日に公開されたアメリカ製作による、第一次世界大戦中が舞台のミュージカル、恋愛映画『暁の出撃』(Darling Lili)の音楽を担当。ゴールデン・グローブ賞で歌曲賞を受賞した。

 

 

 

1973年7月3日公開のアメリカ映画『オクラホマ巨人』(Oklahoma Crude)の音楽を担当。スタンリー・クレイマー監督作品で、第8回モスクワ国際映画祭では金賞を受賞。また、アン・マレー(Anne Murray/1945年6月20日-)が歌う主題歌“Send a Little Love My Way”(作詞:Hal David)は全米72位・AC10位をマーク、さらに第31回ゴールデングローブ賞で主題歌賞にノミネートされた。

 

8月10日に公開されたミュンヘン・オリンピックの記録映画『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』(Visions of Eight)の音楽を担当。原題通り8人の監督が各1種目を担当して撮影した映像を集めたオムニバス形式。日本からは市川崑が参加した。

 

 

 

1974年8月29日に公開されたリチャード・ハリス主演のアメリカ映画『殺し屋ハリー/華麗なる挑戦』(99 and 44/100% Dead)の音楽を担当。監督はジョン・フランケンハイマー。

 

 

1975年、ロバート・レッドフォード主演映画『華麗なるヒコーキ野郎』(The Great Waldo Pepper)の音楽を担当。

 

 

1982年3月16日、異性装と性同一性がメインテーマとなったミュージカル映画『ビクター/ビクトリア』(Victor/Victoria)の音楽を担当、ジュリー・アンドリュースが主演した本作品は7つの部門でアカデミー賞にノミネートを受け、アカデミー作曲賞を受賞した。

 

 

 

1985年6月21日、英米合作のSFホラー映画『スペースバンパイア』(Lifeforce)の音楽を担当。

 

 

1988年10月21日、イギリスのコメディ映画『迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険』(Without a Clue)の音楽を担当。 アーサー・コナン・ドイルが生んだ名探偵シャーロック・ホームズが実はただのアホの飲んだくれで、助手のワトスンこそが真の名探偵だったとする奇抜な設定で描く。監督はトム・エバーハード、出演はマイケル・ケインとベン・キングズレーなど。 

 

 

1992年10月1日、アメリカのミュージカル・冒険・アニメ映画『トムとジェリーの大冒険』(Tom and Jerry: The Movie)がドイツで公開、アメリカでは翌1993年7月30日公開となった本作の音楽を担当した。

 



マンシーニは温厚な人柄で知られ、ヘプバーンやクインシー・ジョーンズ、ジェリー・ゴールドスミスら数多くの友人に慕われた。またモーリス・ジャールやミシェル・ルグラン、ラロ・シフリンといった外国人作曲家にも親身に関わった。人望も厚く、いくつかの大学で名誉博士号を受け、後進の育成にもあたった。



1994年6月14日、ヘンリー・マンシーニは、膵臓および肝臓癌のため、カリフォルニア州ロサンゼルスのビバリーヒルズにある自宅にて死去。70歳没。

 

 

 

 

 

 

数多くの映画音楽に携わったヘンリー・マンシーニの主要な作品を網羅したベストアルバムは、いくつも出ている。

 

 

 

2008年6月25日、ピンク・パンサーシリーズの公開40周年を記念して、シリーズのサウンド・トラックのベスト盤『アルティメット・ピンク・パンサー』がリリース。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「ヘンリー・マンシーニ」「Henry Mancini」

 

 

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