和田 香苗(わだ かなえ/1932年9月3日~2001年2月8日)は、日本の作曲家、編曲家、ギタリスト。

 

 

 

1932年9月3日、和田香苗が生まれる。名前から女性と間違われることがあるが、男性である。愛媛県宇和島市出身。

 

 

昭和30年代末~40年代前半、ギタリスト出身の作曲家である和田は、江戸時代の大阪の下北地区を発祥とする河内音頭の第一人者である鉄砲光三郎(初代/本名:鉄砲光三/1929年2月3日-2002年6月2日)とコンビを組み、「鉄砲節」と称し、ジャズや浪曲、安来節などの要素を採り入れ、現代河内音頭の発展へ大きな革新を起こした。代表的な楽曲は“河内音頭”、“河内十人斬り”、“任侠鉄砲節”、“河内十人切り”など。

 

 

 

 

1965年、早川俊夫、後の水木一郎(1948年1月7日-2022年12月6日)が門下生となる。この時期、早川は弘田三枝子の前歌などを務めた。

同年、「早川昭」名義でテレビ西部劇『シェナンドー』の日本版主題歌“シェナンドー”をレコーディングする。この曲は当時、宣伝用フォノシートが製作されたが一般発売はされなかった。2018年、デビュー50周年記念アルバム『Just My Life』に収録され、初めて一般発売された。

同年、有田弘二の“孤独の太陽”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:河村利夫)、

“愛してる/東京なんか消えっちまえ”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)を手掛ける。

 

 

8月、弘田三枝子“恋のクンビア”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:河村利夫)。

 

11月、扇ひろこの8枚目シングル“女の影法師”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 


1966年4月、島倉千代子のシングル“ほんきかしら”のB面“悲しみにキスを”(作詞:西沢爽/作・編曲:和田香苗)を手掛ける。シングルとして60万枚を売り上げた。

 

6月、村田英雄の“祝い節”(作詞:大矢弘子/作曲:和田香苗)を手掛ける。NHK『きょうのうた』用に制作された。

 

10月1日、島倉千代子のシングル“涙の谷間に太陽を”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/コーラス:コロムビアゆりかご会)を手掛ける。小此木孝夫の自伝『涙の谷間に太陽を』をもとに制作した楽曲。50万枚を売り上げた。以降、島倉には多くの曲を提供するが、以下はシングルA面または表題曲のみ表記。

 

同年、加賀城みゆき(かがじょう みゆき/本名:北村 和江[きたむら かずえ]/1947年6月26日-1991年10月22日)のデビュー・シングル“おさらば故郷 (ふるさと) さん”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)を手掛け、大ヒット。

 

同年、有田弘二“東京物語”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 


1967年2月1日、島倉千代子のシングル“哀しみの川のほとりに”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 

3月、「ご当地ソング」の先駆けともなった扇ひろこの“新宿ブルース”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗)の作曲を手掛ける。

 

8月、扇ひろこ17枚目シングル“女のブルース”(作詞:丘灯至夫/作曲:和田香苗/編曲:河村利夫)。

 

同年、京山幸枝若(きょうやま こうしわか/1926年8月10日-1991年6月24日)の“会津の小鉄”(作詞:松島一夫/作曲:和田香苗)を手掛ける。作詞者の松島一夫は、宮川左近ショー。

 

同年、作詞家の三浦康照に弟子入りした冠二郎が、“命ひとつ”で日本ビクターよりデビュー。三浦からの紹介を受け、和田にも同時に師事するようになる。

 

 

1968年1月、舟木一夫の50枚目シングル“くちなしのバラード”のB面“北風のビギン”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:河村利夫)を手掛ける。

 

2月、扇ひろこ19枚目シングル“ネオンブルース”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗)。

4月1日、島倉千代子シングル“私を忘れて”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗)。

 

4月、扇ひろこの20枚目シングル“カスバの女”(作詞:大高ひさを/作曲:久我山明/編曲:和田香苗)について、B面“夢は夜ひらく”(作詞:中村泰士・富田清吾/作曲:中村泰士/編曲:和田香苗)とともに、アレンジのみを担当。

 

6月1日、島倉千代子シングル“今日からは二人”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 

6月、扇ひろこ21枚目シングル“みれん海峡”(作詞:西沢爽/作・編曲:和田香苗)。

7月、結婚のため一時引退状態だった早川が水木一郎に改め再デビューした、カンツォーネ調“君にささげる僕の歌”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:大西修)/B面“素敵な夜”(作詞:西沢爽/作・編曲:和田香苗)。水木一郎と冠二郎、二人の芸名を名づけたのは和田であり、両者ともに「40歳を越してから伸びるようになる」と願って命名された。なお以前から売れてはいたのだが、実際に両者ともに40歳以後世間的な知名度を獲得するようになる。

12月、扇ひろこ24枚目シングル“泣き女”(作詞:丘灯至夫/作・編曲:和田香苗)。

 

 

1969年2月、扇ひろこ25枚目シングル“済んでしまったの”(作詞:滝口暉子/作・編曲:和田香苗)。

4月2日~9月24日、テレビアニメ『紅三四郎』が放送、オープニング2(第14話~第26話)“紅三四郎”(作詞:丘灯至夫/作・編曲:和田香苗/歌:堀江美都子)およびエンディング2“夕陽の男”(作詞:丘灯至夫/作曲:和田香苗/歌:嶋崎由里・山尾百合子)を手掛ける。

 

 

6月、扇ひろこ26枚目シングル“仁義”(作詞:滝口暉子/作・編曲:和田香苗)。日活映画『昇り竜 鉄火肌』主題歌。

 

8月1日、島倉千代子シングル“花のいのり”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗)。

 

9月、扇ひろこ27枚目シングル“女”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:小谷充)。

10月1日、島倉千代子“天使が空を通る時”(作詞:吉岡治/作曲:和田香苗)。

 

10月、扇ひろこ28枚目シングル“札幌の夜”(作詞:吉岡治/作曲:和田香苗/編曲:只野通泰)。

10月5日~1970年9月27日、フジテレビ系でテレビアニメ『ハクション大魔王』(第1作)が全52回放送、エンディング・テーマ“アクビ娘の歌”(作詞:丘灯至夫/作・編曲:和田香苗/歌:堀江美都子)を手掛けた。1988年に小泉今日子がアルバム「ナツメロ」でカヴァーしている。

 

 

1970年1月1日、島倉千代子のシングル“哀愁の湖”(作詞:渡辺優美子/作曲:和田香苗)。

 

4月7日~1971年12月28日、テレビアニメ『昆虫物語みなしごハッチ』全91話が放送、エンディング曲“ママをたずねて”(作詞:丘灯至夫/作曲・曲:和田香苗/歌:島崎由理)を手掛ける。

 

 

1971年、島倉千代子“願いが、もしも”(作詞:石本美由起/作曲:和田香苗)。

 

4月1日、島倉千代子“沖繩音頭”(作詞:ありむらけん/作曲:和田香苗)。

 

同年、生駒一“浪花棋士道”(作詞:石本美由起/作曲:和田香苗)。

 

 

1972年1月4日~12月26日、テレビアニメ『樫の木モック』が放送、挿入歌“ボクは悲しい木の人形”(作詞:丘灯至夫/作曲:和田香苗/歌:小野木久美子[現:かおりくみこ])を手掛けた。

 

2月25日、都はるみ52枚目シングル“哀愁の旅路”(作詞:石本美由起/作曲:和田香苗/編曲:佐伯亮)。B面“別れの願い”(クレジット同じ)も作曲を担当した。

同年、島倉千代子のシングル“赤い自転車”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:永作幸男)。

 

6月1日、島倉千代子のシングル“その悲しみのうしろから”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 

 

1973年8月10日、ぴんからトリオからぴんから兄弟となった第1作目で、トリオ時代から通算連続4作品目となる女シリーズのシングル“女のきず”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗/編曲:池多孝春)が発売、売り上げ総数はトリオ時代より落ち込んだものの29万枚を超えるヒットとなった。

 

同年、“日本列島音頭”(作詞:神山清志/歌:一文字辰也・円山京子・生駒一・西尾和子・コロムビア合唱団)、“青春音頭”(作詞:/歌:神山清志/歌:西尾和子・生駒一・円山京子・高山淳)を手掛ける。

 

 

1974年、生駒一“はぐれ鳥”(作曲:和田香苗)。

 

 

1976年、金田たつえ“たつえの河内音頭”(作詞:石本美由起/作曲:和田香苗)。

 

 

1980年、生駒一の“大阪そだち”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗)、“涙の恋女房”(作詞:もず昌平/作曲:和田香苗)。

 

 

1982年、生駒一の“もてない俺にも春が来た”(作詞:吉田博子/作曲:和田香苗)、“河内の竜(りゅう)”(作詞:三上博司/作曲:和田香苗)。

 

 

1983年、生駒一“坂田三吉”(作詞:西沢爽/作曲:和田香苗)。

 

 

1984年、京山福太郎(二代目幸枝若)“あばれ花”(作詞:ごとうとしのぶ/作曲:和田香苗)。

 

 

1987年10月21日、扇ひろこ41枚目シングル“浪花の大将”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗/編曲:湯野カオル)。

 

 

1990年3月21日、冠二郎の35枚目シングル“のぼり竜”(作詞:辻本茂/作曲:和田香苗/編曲:佐伯亮)とカップリング“土俵一代”(作詞:鉄砲小弥太/作曲:和田香苗/編曲:佐伯亮)の作曲をともに手掛ける。

 

11月21日、扇ひろこ42枚目シングルで“会津の小鉄 〜侠客列伝入り〜”(作詞:松島一夫・京山幸枝若/作・編曲:和田香苗)をカヴァー。

 

 

1992年2月21日、冠二郎の37枚目のシングル“ぬくもり”のカップリング“火の酒”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:前田俊明)を手掛ける。

4月21日、扇ひろこ44枚目シングル“明日は他人”(作詞:滝口暉子/作曲:和田香苗/編曲:馬場良)。

9月21日、冠二郎の38枚目シングル“炎”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:前田俊明)を作曲。「アイ、アイ、アイライク演歌」の一節が、脚光を浴び「演歌」のイメージを変える「ネオ演歌」として、若者の支持も受けるようになる。また、冠自身のユニークなキャラクターも愛され、TBSラジオ『コサキン快傑アドレナリン』やテレビ朝日系『ナイナイナ』などにも出演するようになる。こうした番組に冠が出演した際、『ハクション大魔王』のエンディング曲“アクビ娘”などの作曲者として、師匠である和田やその作品について語り、にわかに和田が脚光を浴びたこともあった。

 

12月31日、冠二郎が『第43回NHK紅白歌合戦』に2年連続2度の目の出場、“炎”を歌唱した。

 

 

1993年 4月1日、冠二郎39枚目シングル“ムサシ”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:前田俊明)畳みかけるようにネオ通う路線の楽曲を発表。

 

 

1998年2月28日、冠二郎48枚目シングル“”バイキング”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:前田俊明)と新機軸のネオ演歌を次々とリリース。

 

 

1999年5月21日、冠二郎53枚目シングル“太陽に叫ぼう”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:南郷達也)。

6月、村田英雄シングル“男朝吉”(作詞:二階堂伸/作曲:和田香苗)を作曲。作詞者の「二階堂伸」は村田英雄の変名。

 


また、和田は多数の作品を作曲・編曲する一方で、楽譜の無かった頃の流行歌を多く採譜する作業を進めていた。


2001年2月8日、和田香苗が死去。68歳没。

 

 

 

2001年12月~2002年11月、テレビアニメ『よばれてとびでて!アクビちゃん』が放送、『ハクション大魔王』のスピンオフである本作品には本家1作目エンディングの“アクビ娘の歌”が“アクビ娘”(作詞:丘灯至夫/作曲:和田香苗/編曲:須藤賢一/歌:野川さくら)のタイトルでカヴァー、エンディングに起用された。

 

 

2014年4月23日、冠二郎79枚目シングル“望郷エトランゼ”のカップリングに“ああ・人生”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:南郷達也)。

 

 

2015年8月12日、冠二郎82枚目シングル“夢に賭けろ”のカップリングに和田の曲“しぐれ坂”(作詞:三浦康照/作曲:和田香苗/編曲:前田俊明)を収録。

 

 

2021年2月17日、恩師である和田の没後20年を迎え、冠二郎は89枚目シングルとして、和田の“しぐれ坂”をシングル表題曲に収録して発売。

 

 

和田の作品は、「タツノコプロ」や「冠二郎」「島倉千代子」「扇ひろこ」などのベスト・アルバムで聴くことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参照)

Wikipedia「和田香苗」

 

 

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