キング牧師(キングぼくし/本名:Martin Luther King, Jr./1929年1月15日~1968年4月4日)は、

アメリカ合衆国のプロテスタントバプテスト派牧師。アフリカ系アメリカ人公民権運動指導者。

 

 

 

キング牧師こと、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、「I Have a Dream」(私には夢がある)で知られる有名な演説を行った人物で、1964年のノーベル平和賞受賞者。

1968年4月4日、遊説先のテネシー州メンフィスで、白人の累犯に撃たれ、病院に搬送されたが、そのまま帰らぬ人となった。満39歳没。

 

 

キング牧師を歌った歌や関連する楽曲は数多いが、その中で最も知られている曲は恐らく、

1981年、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)が作詞・作曲、プロデュース、演奏を行い、今やバースデー・ソングの定番となった“ハッピー・バースデイ”(Happy Birthday)だろう。

 

スティービーは、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの誕生日1月15日を国民の祝日にする社会活動のために本曲を制作、アルバム『ホッター・ザン・ジュライ』(Hotter than July)からの4番目のシングルとして1981年6月26日にリリース、米誌『ビルボード』の総合シングルチャート「ホット100」(Hot 100/以下「全米」)には入らなかったが、イギリスでは彼にとって最大のヒットとなり、全英シングルチャートで1981年8月に2位を記録した。

 

スティービーは同曲を使って祝日化運動のキャンペーンを続け、同年には記者会見を行った。

1983年11月2日、当時の合衆国大統領ロナルド・レーガンは、キング牧師に敬意を表する祝日を作るための法案に署名、同法は3年後に発効した。

1986年1月20日(1月の第3月曜日)、最初の公式な「キング牧師記念日」(Martin Luther King Jr. Day/別名:マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日)が実施、これを記念してスティーヴィー・ワンダーをヘッドライナーとする大規模なコンサートが開催された。

 

 

他にもキング牧師に関連した楽曲、作品はジャンルを問わず多い。基本的に発表された年代順に以下、主なものを列記する。発表年が不明な場合は最後に併記した。

 

1968年、イタリア系アメリカ人のシンガーソングライター「ディオン」(Dion)がシングル“アブラハム、マーティン・アンド・ジョン”(Abraham, Martin and John)をリリース、キング牧師やエイブラハム・リンカーン、ジョン・F・ケネディ、ロバート・ケネディに対する鎮魂歌である同曲は、2週連続全米4位を記録、『ビルボード』誌「イージーリスニング・チャート」では8位を記録し、ゴールドディスクに輝いた。カナダでは1位を記録した。同曲はその後、多くのアーティストによりカヴァーされた。

 

7月1日、アメリカのロック・バンド「ラスカルズ」(The Rascals)のシングル“自由への讃歌”(People Got To Be Free)が発売、キング牧師の暗殺に触発されて書かれた曲で、全米1位を獲得した。

 

11月、引き続きラスカルズのシングル“希望の光”(A Ray of Hope)が発売、全米24位。4月のキング牧師と6月のロバート・ケネディと相次いだ要人の暗殺に触発されて書かれた。本曲と“自由への讃歌”を収録した『自由組曲』(Freedom Suite)は、翌1969年3月17日に発売された。

 

 

同年、アフリカンアメリカンのジャズシンガー「ニーナ・シモン」(Nina Simone)がリリースしたライヴアルバム『ナフ・セッド!』('Nuff Said!)に“ホワイ?(ザ・キング・オブ・ラブ・イズ・デッド)”(Why?[The King of Love Is Dead])を収録。シモンのバンドのベーシスト、ジーン・テイラーが書いた。

 

同年、キング牧師に捧げられたゴスペル追悼アルバム『ラスト・リクエスト~キング牧師に捧ぐ』(The Last Request)が発表。チェスで数々のセッションに参加した名サックス奏者ベン・ブランチ(Ben Branch)を中心に、フィル・アップチャーチ、チャールズ・ステップニーらシカゴの一流ミュージシャンが集った作品。2013年に世界初CD化された。

 

 

1968-69年、ルチアーノ・ベリオ作曲「シンフォニア Sinfonia」第2楽章は“O King”の副題が付けられた。キング牧師の名前を歌詞の素材として使用、追悼として作曲された。

 

 

1976年7月23日、ポール・マッカートニー率いる「ウイングス」(Wings)の“幸せのノック”(Let 'em In)が発売、全米3位・全英2位。歌詞にキング牧師の名前が登場する。同年発売のアルバム『スピード・オブ・サウンド』(Wings at the Speed of Sound)に収録。

 

 

1984年、U2のアルバム『焰』(The Unforgettable Fire)が発売、収録曲“MLK”と“プライド”(Pride)は、ともにキング牧師に捧げられている。

 

 

 


1987年、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のアルバム『バッド』(Bad)収録曲“マン・イン・ザ・ミラー”(Man in the Mirror)のビデオクリップにガンディーらとともに一瞬ではあるがキング牧師の映像が登場する。2月6日、同曲はシングルカットされ、全米1位・全英2位を記録した。

 

 


1995年、マイケル・ジャクソンのアルバム『ヒストリー パスト、プレズント・アンド・フューチャー ブック1』 (HIStory: Past, Present and Future, Book I)がリリース、CD2枚組で1枚目は過去のヒットソング集、2枚目は新作を収録という構成となっている。2ndディスクの収録曲“ヒストリー/ゴースト” (HIStory)では、キング牧師の有名な演説の一部「I Have a Dream」が使われている。同じく2ndディスクの収録曲“ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス”(They don't care about us)は翌1996年シングルリリースされたが、「もしマーティン・ルーサーが生きていたら、このような事態を放っておかなかった」という部分がある。

 

 

 

 

1997年、没後30年のこの年、マンハッタン・トリニティ(Manhattan Trinity)のC.チェスナットとG.ムラーツ(米留学中の68年,ソ連侵攻でチェコに帰国できなかった),L.ナッシュと、アントニオ・ハートがキング牧師に捧げたアルバム『アメリカの祈り~キング牧師に捧ぐ』をリリース。

 

 

1999年1月21日、キング牧師へのトリビュート・アルバム『リヴィング・ザ・ドリーム~トリビュート・トゥ・マーティン・ルーサー・キング・ジュニア』(Living The Dream: A Tribute To Dr. Martin Luther King Jr.)が発売、ゴッズ・プロパティ(God's Property)の“ユー・アー・ジ・オンリー・ワン”(You Are the Only One)、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)の“ドラマ”(Drama)他、キング牧師のスピーチにインスピレーションを受けた楽曲の数々を収録。また、キング牧師の演説の一部も収録されている。

 

 

 

 

2001年、プリンス(Prince)の24thアルバム『レインボー・チルドレン』(The Rainbow Children)に収録された12番目の曲“ファミリー・ネーム”(Family Name)において、曲末に1963年の演説の最後「Free at last」の部分がそのままキング牧師の声で収録されている。

 


2010年、アメリカ合衆国のロックバンド「リンキン・パーク」(Linkin Park)がリリースしたアルバム『ア・サウザンド・サンズ』(A Thousand Suns)の収録曲“Wisdom, Justice and Love”で、キング牧師のスピーチの音源がサンプリングされている。

 

 

 

年代不明だが、ジェームズ・L・ホセイ作曲“ひとつの声に導かれる時”(And the Multitude with One Voice Spoke)が、キング牧師の公民権運動がテーマとなっている。
 

 

 

なお、キング牧師の有名な演説は1963年、アメリカ各地で公民権運動が盛り上がりを見せる中、首都ワシントンにおいて、リンカーンの奴隷解放宣言100年を記念する大集会にて行われた。

8月28日に行われたワシントン大行進は参加者が20万人を超える大規模なものとなり、公民権運動家や芸能人など多くの著名人も参加した。この集会においてキング牧師は、リンカーン記念堂の前で有名な「I Have a Dream」(私には夢がある)を含む演説を行い、人種差別の撤廃と各人種の協和という高邁な理想を簡潔な文体で訴え広く共感を呼んだ。

 

 

当該箇所の演説は即興にて行われたものといわれるが、アメリカ国内のみならず世界的にその内容は高く評価され、1961年1月20日に就任したジョン・F・ケネディの大統領就任演説と並び20世紀のアメリカを代表する名演説として有名である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(参照)

Wikipedia「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア」「Martin Luther King Jr.」