巴戦って平等なの?(その3)


豊昇龍が横綱になりましたね。


闘志溢れる取り口と普段の笑顔のギャップが素敵な方なので、是非立派な横綱になっていただきたいですね。



さて、初場所が巴戦で決着したことをきっかけに、巴戦の勝率についていろいろ考えた記事を書かせていただきました。





結果、ABCの3人による巴戦で、AとBが先に対戦し、各対戦の勝率は全員2分の1とした場合、AとBの優勝確率はそれぞれ14分の5、Cの優勝確率は14分の4と差が付くことが分かりました。


ところで、この結果って直感から外れてませんか?


3人が完全に同じ条件ではない以上、確率に差が付くのは百歩譲って分かるのですが、確率の分母に7の要素が入ってくることが意味不明です。


巴戦なので3の要素が入るのならまだ分かるのですが、3は入らず、よりにもよって7というのはどうにも腑に落ちません。



結論から言えば、『巴戦って平等なの?(その2)』に書かせて頂いたとおり、3戦ずつをひと括りとした場合、2巡目以降のそれぞれの優勝確率が3:3:1となるので、足した7が入って来るのですが、うーん本当かなあと感じてしまいます。


ということで、こんな時はモンテカルロ・シミュレーションの出番です。




Wikipediaの説明では難しいことを言ってますが、つまりは何回もシミュレーションを繰り返せば理論値に近似していくということです。



今回は、上記と同じく、ABCの各対戦の勝率をそれぞれ2分の1としたモデルを組んで、10万回の巴戦をシミュレーションしてみました。


結果は……


⚫︎Aが優勝: 35,705回 (理論値: 35,714.3回)

⚫︎Bが優勝: 35,758回 (理論値: 35,714.3回)

⚫︎Cが優勝: 28,537回 (理論値: 28,571.4回)


と、ほぼ理論値通りの結果となりました。



ちなみに10万回のうち、


⚫︎AまたはBの2連勝でいきなり決着:

 50,117回 (理論値:50,000回)

⚫︎Cの2連勝でいきなり決着:

 24,857回 (理論値:25,000回)

⚫︎優勝が決まるまでの平均対戦回数:

 3.00229回 (理論値:3回*)


と、こちらもほぼ理論値通りとなりました。



*【ご参考】
k≧2として、k回目の対戦で優勝が決まる確率は、


 1/2^(k-1)


となりますので、平均対戦回数の期待値は、

 2×1/2 + 3×1/4 + 4×1/8 + 5×1/16 + ……

の無限級数の和となり、計算すると3になります。



過去の幕内での巴戦の結果を見直してみると、対戦回数は、2回×4、3回×3、4回×1で、平均は2.625回となっています。


実力が偏っている場合はその分早く決着が付きますので、実際の平均対戦回数が理論値より少ないのは納得できますね。


ちなみに、今回の10万回のシミュレーションで一番対戦回数が多かったのは、21回でした。


確率にして1/2^20(=0.00009537%)、104万回に1回のレアケースを引き当てたことになりますね。


さすがにそれだけ対戦すると、3人ともヘロヘロになってしまいますね ^^



ちなみに、この時の優勝者は誰だったでしょうか?論理的に確定できるのですが、お分かりになりますか?



スクロールの下に答えがありますので、ご興味のある方は考えてみてください。






答えはCです。


冒頭にリンクを貼らせて頂いた『巴戦って平等なの?(その2)』の中で書かせていただいた通り、3の倍数となる対戦回で優勝の可能性があるのはCだけなので、21回目の対戦で優勝できるのはCだけとなります。


3の倍数だからCだな、と気付いた方は賢い方ですし、それ以前に、理論的に確定できるということは同条件のAとBが除かれるからCだな、と気付いた方は頭の柔らかい方だと思います。



お読みいただき、ありがとうございました🌿



(モンテカルロ・シミュレーションに関する記事はこちらにも)