サッカーのPK戦はどこまで続くのか?
第103回全国高校サッカー選手権。
連日の熱戦が続いてますね。
今月29日の1回戦、札幌大谷(北海道)vs寒川(香川)では、PK戦で総勢28名が蹴る大乱戦となり、12-11で札幌大谷が勝ちました。決着が付いてしまうのが勿体ない、まさに激闘でした。
ちなみに、第97回大会の帝京長岡(新潟)vs旭川実業(北海道)のPK戦では、総勢38名が蹴り、帝京長岡が17-16で勝っています。また、地方大会では、第89回大会の福岡県決勝で総勢44名のPK戦となったこともあるようです。
そんなPK戦、なんとなくですが、先攻が決めると後攻もしっかり決め、先攻が外すと後攻もつられたように外すことが多い印象です。
1試合戦って疲労が蓄積したところで極限の精神状態で蹴るので、そういう心理作用が働くこともありそうですが、実際のところはどうなのでしょうか。
PK戦の内容に関する細かいデータが見つからなかったので、こういう時は確率論です。モンテカルロ・シミュレーションで検証してみます。
《前提条件》
・PKの成功率は75%とします(高校サッカーのPK成功率の統計ではそれくらいになるそうです)
・試行回数は10万回とし、サドンデスがどれくらい続くのか見てみます
結果は……下記の通りとなりました!
⚫︎ 5人蹴った時点で決着が付いた回数 70,795回
→だいたい10回に3回の割合でサドンデス突入
⚫︎サドンデス何回目で決着が付いたか(括弧内は累計割合)
1回目 10,936回 (81.7%)
2回目 6,861回 (88.6%)
3回目 4,350回 (93.0%)
4回目 2,628回 (95.6%)
5回目 1,655回 (97.3%)
………
10回目 152回 (99.8%)
………
14回目 26回 (99.9%←四捨五入では100%)
→札幌大谷vs寒川のケース
19回目 2回 (ほぼ100%)
→帝京長岡vs旭川実業のケース
22回目 0回 (ほぼ100%)
→福岡県決勝のケース
23回目 1回 (100%←10万回で1番長引いたケース)
上述した実際のケースは、10万回のうち数回しか起きないので、やはり何らかの心理作用が働いているようですね。
先攻が外して「これを決めたら勝ち」という状況になると、決めればヒーロー、外しても先が続くだけという、キッカーにとっての「低リスク状態」となるので、油断が生じて緊張の糸が緩んでしまい、結果、失敗の連鎖反応が起きてしまうのかもしれません。
ちなみに、今回のシミュレーションで一番長引いたケースでは、総勢46名が蹴る大熱戦となりました。サドンデスに入ってから両者失敗が3回あり、最終的に22-23で後攻の勝ちとなりました。
なお、今回は成功率75%でシミュレーションしましたが、成功確率を上げるとサドンデスが長引く可能性が高まります。
各回のサドンデスで決着が付く可能性は、PKの成功率をrとした場合、『r(1-r)×2』となりますので、rの値をどう置くかによって下記の通りとなります。
r=75%の時、37.5%
r=80%の時、32.0%
r=85%の時、25.5%
r=90%の時、18.0%
良いキッカーが揃っていてGKが不得手な場合は各回80%以上の確率でサドンデスが続くことになりますね。
高校サッカーに出場する皆さんには、悔いが残らないよう全力を出し切って欲しいですね。
(ご参考までに、モンテカルロ・シミュレーションを扱った記事のリンクを貼っておきます。)
お読みいただき、ありがとうございました🌿
《1/13追記》
決勝戦も総力戦の末のPKサドンデス決着でしたね。
前橋育英の皆さんも流通経済大柏の皆さんも本当にナイスゲームでした!お疲れさまでした!!


