お客さんにサンプルを見せても、「どれも同じに見えるけど何が違うの」と言われる事も良くあります。
違いを説明しても、専門的な言葉が多くなってしまうのが困ったところで
なんとか誰にでも解り易く説明できないものかと思っているところ
説明しやすいサンプルを見つけました。
こちらはあるお客様から表裏返しの依頼を請けた時の写真です。

部屋:寝室
使用年数:約10年
畳表の種類:中国産の経糸に綿糸が2本入った物、
ある程度の厚みがありますが価格的には安く施工できます。
ご主人がパソコンを使うときにいつも座っている畳

部屋:居間
使用年数:約10年
畳表の種類:熊本県産の経糸に麻糸と綿糸がそれぞれ1本づつ入った物
上の写真の物よりも厚みがあります。
価格的にそれなりの値段が必要です。
おじいちゃんがいつもテレビを見るときに座っている畳
恐らく新しく表を張り替えるときに寝室はあまり使わないからとの理由で
こういった商品のチョイスをされたのだと思います。
さてここでそれぞれ傷んだ部分を拡大してみましょう。


上が寝室で下が居間なのですが、傷み方が違うのが解りますか?
居間のイ草は表面だけが剥げているのに対して
寝室の方はイ草の表面だけでなく芯までえぐれた様な剥げ方をしています。
イ草の中には綿のような実が詰まっているのですが、その実が十分に入っていない事
それから表皮が柔らかい事それに加え、畳表1枚に対してのイ草の密度が少ない事が
寝室の畳の傷み方に繋がっているのだと考えられます。
さらにそれぞれの傷んだ畳表の裏側を見てみましょう。


こちらも上が寝室・下が居間です。
それぞれの色合いに違いはありませんが、
居間の畳表にはくっきりとした山と谷があるのに対して
寝室の畳表は平らに潰れているのが解るでしょうか?
これも上記と同じ理由からだと考えられます。
畳表の色合いはまずまずですが、恐らく寝室の畳を裏返して施工しても
長く使うことは出来ないと予想できます。
最後にそれぞれのお部屋の一番痛みの少なかった畳を見てみます。


こちらも上が寝室・下が居間です。
寝室の畳はどれも毛羽立ちがあったのに対し、
居間はほどんどの畳に毛羽立ちはありませんでした。
家族全員が使う居間とご夫婦だけが使う寝室、どちらの畳が傷みやすいかといえば
間違いなく居間のはずですが、こういった結果になっています。
新しい畳はどれも同じに見えても、使用する畳表の良し悪しでこれだけの差が生れるのです。