息子
新天地 1回目
隆一が1時間ほど新聞を読んでいると、山崎が高木の部屋から出て来た。
「代貸」
隆一が山崎に声をかけた。
「おじき、来ていたんですか」
山崎は内線で高木に大島が来ていることを報せた。
「貸元が部屋に入ってくれと言っています」
隆一は高木の部屋に入った。
「いい時に来ていた」
「何かありましたか」
「代貸とも話し合ったことだ。大島、お前F市に行ってくれないか」
「F市ですか」
工藤組は横浜を拠点に南北に勢力を広げていた。
高木の龍仁会はその先兵たらんとしていた。
「嫌か」
「貸元と代貸が決めた事なら、俺は従います」
「お前ならそう言ってくれると思っていた」
「俺はF市で何をすればいいんです」
「高木興業の事務所を新設し土建業をしてくれればいい」
F市にはすでに新幹線が通っていた。
1971年(昭和46) 4月着工
1982年(昭和57) 6月大宮駅ー盛岡駅開業
「大島、F市には高速道路も来ている。この先、北の要になる」
「わかりました。F市に新事務所を作ります」
次回は7月8日に書きます。