貸元
花会 13回目
栄は跪いている与平の若い者を見まわした。
その中に源三がいた。
栄は源三に近づき五尺三寸の杖で打ち据えた。
一撃で源三の肩の骨が折れた。
気を失った源三を栄はなおも打ち続けた。
源三はぴくりともしなくなった。
宿場の親分衆を呼びに行っていた三郎が遊郭の中庭にやって来た。
三郎は動かなくなった源三を見た。
三郎は源三の側に駆け寄った。
「竹庵先生の許に運べ」
三郎は若い者に命じた。
「姐さん、訳はあとで話します」
三郎は頭を下げたまま栄に許しを請うた。
若い者が源三を戸板に乗せて運び出した。
「与平は死んだ。いまから宿場は笹屋一家が取り仕切る」
栄は笹屋一家の復活を宣言した。
反対する者はいなかった。
与平の若い者はうな垂れていた。
集まった親分衆も目の前の惨劇を見て声を失った。
次回は明日書きます。