TOKYO
挑戦 15回目
黒田と細川は有楽町に行った。
ふたりは並んで銀座を歩きウィンドーショッピングを楽しんだ。
戦中、銀座は空襲で焼け野原になった。
戦後二十年が経ち、銀座も復興していた。
元あった所に再開した店や新たに銀座に進出した店など、戦前とは様子が変わっていた。
その光景に黒田も目を奪われた。
歩きながら黒田は昔、上原礼子とした約束を思い出した。
その約束とは、上原の二十の誕生日に指輪を贈るというものだった。
黒田は細川を連れてデパートに入った。
黒田は細川と宝石を販売している店に行った。
黒田は店員に指輪を見せてくれるよう頼んだ。
ショーケースの中から指輪を幾つか取り出して並べた。
黒田 「僕はかつて上原礼子さんの二十の誕生日に指輪を贈る約束をしていましたが、出征したためその約束を果たせなかった。そのことがずっと心のわだかまりとなっていた。今日その約束を果たしたい。君の好きなのを選んで」
細川は黒田の申し出を受けることにした。
細川は黒田と会ってから母の残した日記を何度か読み返し、母と黒田の間に恋愛感情があったと気づいていたからだ。
次回は明日書きます。