ブログをご覧の皆さま。お久しぶり、イノダです。
今回のサローネは、うちに新しく入る日本人のユキ君と共に少し周りました。
彼の視点からのサローネ・リポート、かなり細かくリポートしてくれています!
お楽しみアレ!
ミラノサローネ情報
4月17日~22日までイタリア・ミラノで行われた
Milano salone 2012 世界からおよそ30万人以上が訪れる世界最大の家具イベント
今回私はミラノでお世話になるinoda+sveje事務所に同行し、サローネの現在と
注目すべきデザインを軸にご紹介して行きたいと思います!
■変化の少ない年
いきなりこんな事を書くと残念な感じですが、長引く不況、ヨーロッパ全土の停滞した経済状況などからか、ここ数年は各メーカー大きな挑戦ができない傾向にあります。
多くのメーカーがユーザーの求める、解りやすい製品の発表に留まっています。例えば、日常使いで何ら問題のない家具、コントラクトで受け入れ易い家具、など良く言えばシンプルに使い易く、デザインとしてはまとまっているのですが、言い換えるとそこから先のチャレンジのある家具が少ない印象でした。
ということで、あまり普通の家具は写真とっていません。。
■コストをとるか質をとるか
これは今に始まった事ではないのですが、メーカーにとっては一生つきまとう課題でもあり、どちらもプロダクトを作る上で大変重要なポイントですが、どちらを取るにしろ(当然両方でも)軸がぶれてしまうと失敗すると思います。IKEAの成功はコストを最優先にしデザインで見せる軸が一本あり、品質に関してはお世辞にも他メーカーよりも優れているとは思えません。ただし決してチープには見えないところがIKEAデザイン。
私は家具のみならず服や革製品におけるイタリアデザインの良さは品質だと思っていますので、その視点からいくつか写真を。
↑個人的にはこの椅子(PEDRALI社 NOA/Marc Sadler)裏面の納め方がすごくきれいでした。
■カラートレンド
去年の様子を知らないので私見でしかないですが、前述した通り各メーカー共々
奇抜なプロダクトをプロットできない中で、既存のアイテムにカラーバリエーションや
差し色を持ってきて印象付ける傾向が多く見受けられました。
概念的に持つ素材にペール系の優しく落ち着いた色味を組み合わせたものや、
ビタミンカラーにやや明度を押さえた色味でのカラーバリエーションなど。
また、そのトレンドをに対して敏感に反応している若手デザイナーの作品も多く見受けられた。
■ワードトレンド
例年からの潮流が依然として継続している感はあります。これも開発費をかけられないメーカーの
現在の姿でしょうか・・。
ワイヤーフレーム:軽量感のある線材だが、使い方でボリューム感を持たせている
内包する形:包み込むように深い背肘で安心感を与える印象
異種素材との組み合わせ:組み合わせにより新たな素材感、印象を与える
■注目のプロダクト
・Konstantin Grcicの新作チェア
プロモーションにも力を入れた本製品はFLOTOTTO社がこの1アイテムだけで勝負を
掛けてきた気迫が伺える。
・Piergiorgio&Michele CazzanigaのチェアSail
本サローネで良かった家具の一つ。合板の合わせ方、スタッキング時のプロポーションがとてもきれい
・Patrick NorguetのチェアKobi
Alias社からの新作、今の潮流を良くつかんだデザイン。
・Odoardo FioravantiのチェアFRIDA
背座一体の合板に対して少ない構成要素でジョイントされているチェア。どことなく
日本的な美意識を感じる。
・patricia UrquiolaのチェアNub
伝統的なウィンザーチェアをウルキオラの感性でまとめたチェア。
・patricia UrquiolaのチェアHUSK
B&Bから独特の形状をもつ硬質シェルに包まれたラウンジチェア
・Lorenz KAZのチェアLUC
rossinからの新作。ポリウレタン(恐らく)シェルのシートにアクセントカラーの
脚が印象的。各種バリエーションあり。
その他、以下に気になったプロダクトを載せていきます。(サテリテ、フオーリ含む)
↑安積朋子氏の新作
1
↑ミラノベースの若手Hiroomi Taharaさん。young design受賞おめでとうございます。
↑サテリテにて韓国人若手デザイナーのバンブー(確か)スツール。仕事がきれい。
↑吉岡徳人
↑NC造形!
↑Vitraから深澤直人氏のシェルフ
↑CANONのインスタレーション
↑原研哉氏と住設機器・建材の総合メーカーLIXILとのコラボ。新しい入浴スタイル。
↓以下nendo
↓そして宮崎椅子の展示です
まだまだ、写真は色々撮ったのですが収集つかなくなりそうなのでこの辺で。
1週間街を歩き回り、ミラノサローネを肌で感じれた事はすごく貴重でした。
地元メーカーはデザインバブルが続いているような華やかさを保ちながら、なかなか次の潮流を見つけ出せないジレンマのようなものを感じ、各地域で行われている若手や学生の勢い(良い悪いは別として)に圧倒されました。また、日本や韓国などのアジア勢の洗練されたデザインを再認識出来たのも現地に来たからこその収穫だと思います。
いつの日か自分もこの場所で展示する事を夢見ながらレポートを終わります。
Y.YAMAGUCHI