以前にも書いたが私と元田は
中高一貫の学校に通った。

ゴールデンウイーク前に
毎年あったのが、強歩大会と言われる
学校行事。



要するに40キロ強を歩くのであるが
中高生にとって
ただ歩くのは、中々退屈である。

更に我々は男子校だったので
本当に退屈極まりない。


で、その強歩大会だけど
張り切っているのは大人たち。

5キロおきぐらいに、
水とおにぎりを補給できるポイントがあり
そこにおばちゃんたちが待機していて
お世話してくれる。

各ポイントの通過時間は決まっていた。

例えば、朝5時に出発するとして
5キロ地点は6時までに通過しないと、失格。

というように。

最終地点、学校の到着予定時刻は
15時だった。

15時までに学校に到着しなければ失格である。




私達は当時、まだまだガキんちょである。

寮の食事は美味しくない。
(まずい、と書くほど今の私はガキではない。
限られたコストの中で、食事を作ってくださっていた
当時の食堂のおばちゃんたちに感謝する。)

早く家に帰って
旨いメシ食べたいんだよねえ。

中高生というのは、食べ盛りなのだ。





で、強歩大会。

走って早く到着すれば、
旨いメシにありつける。

ところが、失格になったら15時まで
失格者が乗っているバスに
乗り続けないといけないというルールがあった。

失格したら
途中で帰ったらダメよ、ってことね。

しかも、そのバスの名前を

落伍車

という。

(青くて)プライドの高い若造たちが
そんなものに乗りたいわけはない。

乗れば、落伍者として
15時まで顔をさらされることになる。

で、当時はイヤイヤ、でも一生懸命走った。

と、いうわけ。



今、考えるといかにも軍隊式のシステムだよね。








5年ほど前
元田が重度のうつ病だった時に
私はヤツを連れ出して、2人で
その強歩大会の道のりを歩いた。

途中でヤツが「携帯を落とした。」
と、言いだしたので、しかたなく
妻のクルマを電話で呼んで探した。

私たち二人は
そのまま、途中で落伍した。




「オレがすい臓がんから復帰してきたら
続きを歩こう」
と、元田と約束していた。

なんとなく延び延びになっていた。





昨日、その続きの道のりを歩いた。


学校に到着した後
近所の神社にお参りした。

巫女さんにチャチャを入れることを忘れずに
おみくじを引いた。

中吉だった。

普段はお賽銭は5円入れると決めているが
奮発して100円入れた。

私がまた歩けることと
元田の成仏を祈った。
(神様に成仏を祈るのは、正しいのだろうか?)





手術が終わって
五体満足で帰ってきたら
もう一度、歩こうと思う。

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足が痛いです。