おカネの問題。
死への覚悟ができ、がんと闘うと決めた時
ほぼ、同時に私はカネの心配を始めた。
私は、会社を経営しているので、
これは、脊髄反射である。
兵站が、しっかりしていない軍は負ける。
戦略を描く前に、補給線を確保するのは戦の基本だ。
重い病になっても、
日本には高額療養費制度があり、
医療費部分は極めて安い。
高い人で、ひと月15万円程度である。
(所得によって違いがあり、ややこしい説明は避けますが
役所に電話すれば、職員の方が丁寧に教えてくれます。)
だが、いわゆる絶対に必要な医療費以外にも
次のような費用がかかる。
1、収入の心配。
手術などの治療がうまくいき、
入院が短期間で済めばいいが
その間も家族はメシを食わなければ、
生きていけない。
2、差額ベッド代を払える状態を維持したい。
東京などの大都市とQ州では
差額ベッドの費用が随分違うようだが、
本音な部分として、個室であることは精神衛生上
かなりの優位性を持つ。
個室であると、
①毎日、シャワーを浴びることができる。
治療の都合上、入れないときはあるけれど。
(大部屋だと通常、週2回)
②消灯をうるさく言われない。
(病院の消灯は通常21時。)
個室なら眠れないときは、本でも読んでいればいい。
③友人、家族が見舞いに来て、
何時間、話しても基本的にOK。
④夜中にトイレに起きても、気を遣わなくて済む。
⑤携帯で話しても、基本的にOK。
いずれにしても、かなりの部分で
プライバシーが確保され、
日常生活に近い入院生活が過ごせる。
昔、私の父が屋根、
5メートル程の高さから転落した。
脳や骨などに異常がなかったため
ICUから、追い出され1日で、
退院させられそうになった。
父はその時、打撲でまだ全身痛かったそうだ。
某N赤病院だったが、
差額ベッドをお願いしたら、快く応じてくれた。
病院だって商売なのだ。
父は、個室に移ったあと、私にこう言った。
「地獄の沙汰もカネ次第だな。」
その通りである。
3、先進医療は効くか、効かないかわからないが
とにかくやるのだ。
私は術後、科学の香りのする治療は、できる限り受けた。
ファーストラインのジェムザールを半年行った。
金額はたいしたことは無いが、一回15,000円ほどを
約20回。
30万円ほど。
ジェムザール投与中に樹状細胞療法を行った。
約200万円を、優しい女性の先生におまけしてもらって
約150万円ほど。
(治験に該当させてくれた)
その後、TS-1を2か月ほど、飲んだ。
TS-1をやることに関しては、
元田、主治医のT先生、両方に反対されたが
その週のうちに、飛行機に乗って
静岡のがんセンターまで行って、彼らを説得した。
TS-1の治験は静岡県立がんセンターだった。
(ジェムザールもTS-1も抗がん剤)
カネの話をすると、
人生はカネじゃないとか
心が大事だとか
いろんなことを言う人がいる。
ここでは、そもそもの、カネの議論をするのは
目的ではないので、一言だけ
カネは、使えば使うほど、良い医療を受けられる。
続く
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