コノ話の続きです。


私は、すい臓と膀胱の一部を切除した。

すい臓の、切った側から
すい液が漏れていたのだ。

外科の先生の
名誉の為に書いておくが、

私の手術で、
このすい液漏という
合併症は珍しくない。

そして、年配の患者よりも、
若い患者のほうが

すい臓が元気なために、
漏れることが多いらしい。

すい液は最も強力な消化液である。

お腹の中に漏れると、
お腹の中のたんぱく質や
脂肪を消化してしまう。

わかりやすく言うと、

お腹の中が溶けちゃう

のだ。

すい液は消化液だ。

食事が入ってくると分泌される。

すい液が漏れているときの、最善策が

絶食

である。

その間、栄養は点滴から入ってくる。

絶食は辛い。

それに、この絶食は
いつ終わるかわからないのだ。

看護師さんに、

「どのくらい続くの?」

と尋ねたら

「うーん、一番長かった人で、
半年ぐらいですかねえ?」

と答えた。

看護師さんは続けて

「でもね。大目玉さん。
大目玉さんは、いつか
必ず食べられるようになることが、
わかっているから、
まだ、イイじゃないですか。

この病院にはね。一生食べられないかもしれない。

って患者さんがいるんですよ。」

食道がんなどで、術後、
食べられないまま亡くなる方は、多いらしい。

私は、

「そうですね。」

と答えたが、

心の中で

でも、自分は昼ごはん食べてきたんだよね。

とひがんでいた。

絶食は辛い。

心を歪ませる。

絶食が1か月ぐらい経過した頃、

先生が、回診に来たときに

「先生オレ、ひもじい。」

と訴えた。

そしたら、完全消化態食という

リンゴ味のジュースが出てきた。

一食につき一本。

何故か、お盆の上に立って出てきた。

200カロリー。

それを40過ぎたオッサンが大事そうに、飲むのだ。

ウマかった。

感激だった。

紙パックの裏を見たら、

投与量、一日6本まで、

と書いてあった。

先生にお願いして、次の日から
一食2本にしてもらったことは、言うまでもない。

私は、食い物に、いやしいのだ。

さらに続く

にほんブログ村 病気ブログ がん・腫瘍へ
にほんブログ村

↑クリックにもいやしいです。