コノ話の続きです。

絶食は辛い、という話をもう一つ。

元田は私が、がんの入院生活を終わった
半年後ぐらいにすい炎になった。

入院していたので、見舞いに行った。

私が入院していた時に
見舞金をくれなかったので、
見舞金はナシである。

元田は首の静脈に
点滴を入れられており、
3週間絶食だった。

私が

「オマエ、ハラ減ってんだろ?」

と何度も言うが

元田は、

「ゼンゼン」

とそっけなく答える。

私が

「オマエ、ハラ減ってんだろ?」

としつこく言うと、元田は

「もう、食い物のことは忘れた。」

「一生、点滴でもいいかもしれない。」

と、ぬかす。

かわいくないヤツだ。

元田の病室からは、
モスバーガーの看板が見えていた。

私が、

「モスバーガー買ってきて、
ここで食っていい?」

と聞くが、ヤツは一回も、

「食べてイイよ」

とは言わなかった。

ケチなヤツだ。

週3のペースで
見舞いに行ってたが、ヤツは私に

「もう、オマエは来なくていい。」

と言っていた。

何が元田の、気に障ったのだろう?

もちろん、来るなと言われても
私は見舞いに行く。

手ぶらだけど。






ある日、見舞に行ったら、
元田の首から点滴が外れている。

「よう、点滴、抜けたんだ?」

と私が言うと

「うん、朝飯も食べたよ。」

とご機嫌な元田。

「そうか?朝飯、おもゆだったろ?」

と言うと

「うん、出たのは、
おもゆだけだったけどね。」

と歯切れが悪い。

私が問い詰めると、元田は

「食器を返しにいったらさあ、

全く手を付けていない食い物があってさあ、

もったいないだろ?食べちゃったよ。」

元田は残飯を食ったらしい。

げに、食い物の恨みは恐ろしい。





このブログの読者の方は、ご存知かもしれないが

元田の職業は医師である。

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↑医者だって人間なんだ。