がんは原理的に治らない病気だ。

 
 

経営者とは何か?

リスクを取るヒトのことだ。

ある事業を行うとき、何故それをするか?

と問われれば、
儲かりそうだから、と答えるしかない。

当然、それにはリスクがつきまとう。

他人より、多くの利潤を得ようと思えば、
より多くのリスクを引き受けるのが、
自然な姿だ。

私は経営者である。

故に、私はリスクを
取ることに慣れている。

 
 

がんを告知された時、
私はより多くのリスクを
引き受けることに決めた。

どんなに
カネのかかる治療であれ

どんなに
痛みの伴う治療であれ

どれだけ
長い時間がかかる治療であれ

行う、ということだ。

 
 
ところで、
がんは原理的に治らない病気だ。

だから、がんに対する医療は
外科的切除が第一選択になる。

がん細胞が広がらないようにするには、
それが最善だ。

がんに対する医療の
第二選択は、放射線、粒子線治療である。

第一選択、第二選択とも
意図するところは同じで
局所にあるがんを消滅させる
という狙いである。

第三の選択は化学療法である。

基本的に遠隔転移がある場合、
化学療法が手段として採用される。

なぜか?

遠隔転移がある場合、がん細胞が全身に
ばらまかれているからだ。

ばらまかれたがん細胞は、全身の各場所で
芽をふき成長する。 
 
つまり、分かりやすく言うと、
遠隔転移があれば 
 
延命治療になる 
ということだ。


すい臓がんの場合、
手術ができる患者は20%に満たない。

残り80%は手術をしても、
かえって死期を早める可能性が高い。

更に20%の内、
完治を目的とした手術は
10%程度かもしれない。

残り10%程は、
例えば姑息的吻合術など
患者の残された人生のQOLを
改善する為のものが多い、と考えられる。



遠隔転移の可能性を示唆されて、
私は生きる手段を
一つ一つ奪われてく日常を味わった。

リスクを取りたくても、取れないのだ。

それに、比べれば、
たとえ5年生存率が5%であれ
根治を目的とした手術を
受けられることは
なんと幸せなことだろう?



背骨の転移巣の生検の
正式な結論は、翌日、出た。


がん病巣にあらず。



背中の腫瘍が良性であることを
元田は、1人祈っていたらしい。

術後、私が電話して 
 
「シロだったぜ。」

と言ったら、

腰が抜けた。

らしい。




天王山のゲームに、私は勝利した。

反撃の狼煙は、上がったのだ。

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