がん治療は、命がけのゲームだ。

そしてこのゲームはチームプレイ。

今日はQ大病院の診察の日である。

朝からクレームを付けてる患者がいる。

10時に予約を入れていたが、
待たされてるというクレームである。

おいおい、オッサン
まだ、10時5分だぜ。

大声で女性事務員さんを罵っている。

どんだけ忙しいのか知らんが、
女の子をイジメルナ。

かっこ悪い。

Q大病院とも、かれこれ1年半近く
付き合っているが、よく見る光景。

日本は現在、かなりのクレーム社会であるが、
医療機関でのクレームは
決して患者のメリットにならないから、
やめた方がいい。

例えば、居酒屋に入った時に大将から、

「今日は珍しいさかな、入ってるよ。食ってみる?」

と言われるような患者になろう、ということである。

居酒屋なら、旨いさかなが
食べられないだけで済むが、
医療機関の場合、命に関わる可能性がある。



ミスは誰にでもある。

ミスを無くそうと思うのは正しい。

問題は、医療機関側が
ミスを無くそうと思うあまり、
リスクを取らなくなることだ。

日本の医療水準は世界最高であり、
また、そこに従事する人たちも
極めてモラルが高い。

キライな患者であれ、
見捨てるという程、
彼らのプライドは低くない。

しかし、忘れてはならないのは、
医療は完璧ではなく、
彼らも人間であるという事実だ。

がん治療では、術前にCTやMRIで
どこに病巣があるか、
判る場合と判らない場合がある。

手術中に開腹後、
あなたの体内にあるがんが、
大事な動脈のぎりぎりに
くっついていたとしよう。

あなたは全身麻酔で意識がない。

外科医は何を考えるだろうか?

切って成功すれば患者は助かり、
がんが完治する可能性がある。

しかし、失敗すれば
大出血を起こし死ぬ可能性もある。

切らなければ標準治療となり、
責められることはない。

患者のがんは治らず、数年以内に死ぬ。

普段からクレーマーの患者を手術するとき、
あなたが外科医ならどうするだろうか?

繰り返すが医療関係者も人間。

がん治療はチームプレイである。

主役は患者だ。

仲間を大切にできないヤツは
ゲームに負ける。

後ろから撃たれるかもしれない状況で、
人間は、まともに戦えるだろうか?

チームには、医師だけでなく
看護師、薬剤師、事務方から掃除のおばちゃんまで、
全ての人間が含まれる。

あなたが掃除のおばちゃんに
優しくしていれば、

もしかしたら、手術の前に
手術室や病室を、普段より念入りに
掃除してくれるかもしれない。

術後の感染症が
予防できるかもしれないではないか?

あなたが
女性看護師さんや女性事務員さんに
好かれていれば、

男性外科医に手術中、
簡単に見捨てられることはない。

女性陣から、

「ふーん、あんなにイイ人を見捨てる
冷たいお医者さんだったんですね。」

と思われるのは外科医だって怖い。

逆に、難しい手術を成功させれば、

彼はヒーローだ。

何より、人は仲間を簡単には見捨てない。

ま、私はタダの女好きなのだが。


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