猫を譲渡する際は、お見合いして、合意に至れば、お試しで後日こちらからお届けするという流れでしょうか。

お届けは、飼育環境の確認も兼ねて、お家の中におじゃまさせていただくことになっていると思います。。

玄関前での引き渡しは、絶対だめですよー。

お家に入ることを頑なに拒み、玄関前での引き渡しを求めた人がいて、当然猫は渡さなかったけど、後日調べたら、そこのお家とその人は、全く違ったという話を実際に遭ったボラさんから聞いたことがあります。

お家におじゃまするって大切なことで、こちらもズボラなので、うるさい事は申しませんが、人として健全な生活を送れているか、猫を飼う資格があるかの判断ができます、お家の中って、その人ことを如実に表している場合が多いと思っています。

小学生や中学生のいるご家庭へのお届けは、期待感がひしひしと伝わってきて、うれしい反面、大丈夫かしらと、すごく心配になります。

昨年、お届けしたお家は、中学生の娘さんが、フリフリのレースの手作りのベッドを用意してくれて、とても感激しましたが、恩の上そこではなく、娘さんのベッドで一緒に寝ているそうです。



5年ぐらい前でしょうか、猫のお届けで一つ忘れられないことがあります。

一緒に猫活動をしていたYさん、捨て猫や迷い猫を見つける天才でありましたが、里親探しでも実に巧みでした。

当時住んでいた区内のボランティア団体の譲渡条件は、どの団体もかなり厳しいものでした。
個人のボラの私たちは、譲渡条件を緩めて、団体の条件を満たない人にも譲渡を広げました。
一人暮らしの方や60代のご夫婦でも収入があり、保証人を立てていただければ、譲渡可としました。お試し期間中は毎日、写真とメールでの報告を義務として、慎重に進めました。

ある日、ペット不可の住まいの知り合いから、保護した4ヶ月の黒猫オスの里親探しを頼まれました。

Yさんに相談し、しばらくして、30代の一人暮らし男性で黒猫を飼いたい人がいる、という話がありました。先住猫の黒猫がいて、遊び相手の黒猫を探していて、何度かメールでやり取りし、とても感じがいいとYさんは言います。

知り合いにそのことを話すと、一人暮らしの男性になんて渡せないわ!という私と同じ反応でした。
Yさんからの提案で、先住猫との相性を見るため、子猫を連れて、一度おじゃましてみようということになりました。

男性が住む、最寄り駅の改札口で待ち合わせをしたのですが、そこで待っていた男性が長身でファッショナブルで本当にステキで、同じ様に思った知り合いと顔を見合わせてしまいました。話し方や態度も感じがよくて、私と知り合いは完全に舞い上がってしまいましたが、Yさんは冷静で慎重でした。

私たち3人の訪問者にも全く物怖じせず、赤いソファーに美しい黒猫が優雅にくつろいでいました。すぐに子猫に興味をしめし、とても友好的で、受け入れてくれました。

男性の部屋の壁一面に古典から現代文学まで、趣味のいい本がならんでいて、人としてのバランスの良さみたいなものを感じました。

近くに住んでいて、何かあると駆けつけてくれる獣医の友人の存在が決め手になり、当初の予定を変更して、その日からお試しとなりました。

夜には友人の獣医さんが来てくれたそうで、3日目には黒猫が2匹で寄り添う写真が送られてきました。そして1週間後、譲渡誓約を交わし、子猫はファッションテザイナーから採ったおしゃれな名前になっていました。

世の中にはいるんですねー。
外見も申し分なく、思慮深く、そして猫を愛してくれる男性が。

知り合いのご主人は子猫をお試しで置いてきたことを知り、情が湧いていたようで泣いてしまったそうです。

優しいご主人に黒猫2匹が寄り添う写真を大きくプリントして渡しました。