12月のブログを書いていない間は、やることが多くて精神力をめちゃめちゃ奪われていたので、何かをアウトプットしたいという気持ちにまったくなりませんでした。
そういうときに義務感からブログを書くととてもつまらない記事か、攻撃的な記事になってしまうので、書くのをやめてインプットに比重を置いてました。
アニメも見ようとしたんですが、どうもアニメは今の私にはあまりフィットしないみたいです。
マンガのように自分のペースで進められないのが嫌なようです。
この、ペースが大事というのが、この正月休みのマンガを読む時間でとても実感できました。
 
そんなにたくさん読んだわけではないのですが、感想を書きたくなったので、書くことにします。
 
・BADON (オノ・ナツメ)
同じ作者さんのACCA13区監察課というマンガのスピンオフ的な作品です。
私はオノ・ナツメさんのマンガはほぼどれも好き(basso名義のBLも好き)で、ACCAも好きなんですが、BADONはもっと好きです。
なんでこの人のマンガが好きなのか、BADONを読んでて唐突に理解しました。
 
テンポがすごく合うんです。
 
テンポが合うってどういうことかと考えたら出てきたのは、無駄がなくて、不足もない、ということでした。
この人のマンガは世界観や設定が独特かつ独自のもので、完成度が高いというか、彩度が高いというか、しっかりできているのに無駄がないんです。
物語に必要な情報でシンプルに枠組みを作ってあるので、余計な情報が無いから理解しやすい。
ACCAに関してはちょっと不足気味かなとは感じましたが、まぁ読んでいけば雰囲気はつかめるかなって感じです。
BADONはもっと的を絞ったお話で、段階的にじっくりと広がっていくので、ついていけない感じがなかったです。
 
この人の特徴的な絵も好きですが、登場人物のパーソナリティがそれぞれに際立っているのもとても好きで、特にそれは「会話」に表れていると思います。
私では思いつかない会話、浮かびもしない選択肢、そういったものばかりなので、展開がまったく予想できず、常におもしろい。
この人の作品は「マフィア」「たばこ」「食事」「歳の差」「LGBT」といった要素がけっこうあって、それもまた個人的に好きです。
これらの要素があるのに作品が血なまぐさくないんですよ。
かといって極主夫道みたいにハートフルヤクザって感じでもなく、展開を進めるのに力技を使うことなくしっかり地に足つけて描かれている感じがとても好みです。
 
間延びしないギリギリの情報量で理解できるように構成されてる絶妙なマンガだと思います。
前科者の4人のおっさんが集まって、高級嗜好品になったタバコのお店を首都に開いて人生のやり直しをしようとする物語なんですが、これだけだとどういうこっちゃ? ってなると思うので、ぜひ読んでみて欲しい。
 
 
・ドリフターズ (平野耕太)
この人はヘルシングが有名ですよね。
ドリフターズはアニメを途中まで見てやめてしまったので、マンガでリベンジしました。
マンガは一気に読めたので、テンポが合っていたようです。
ヘルシングも全部読みましたが、ドリフターズの方が好きですね。
 
ヘルシング同様めちゃくちゃ人が死ぬんですが、なんというか、ドリフ側は死に様がかっこよくて、その死をちゃんと主人公が受け入れてるというか、無駄にしてないから辛さがそこまででもない。
敵(エンズ)側の首魁は一切顔が見えないんですが、持ってる能力とセリフの端々で誰なのかが察せられて、わかったときはなるほど!と思いました。
歴史上の有名人(特に生死不明・行方不明の人)を題材にしており、私たちが持っているその人物のイメージとうまいことマッチしてて良いです。
読んでてすんなり入ってくる。
主人公が薩摩の武士なのでセリフがめちゃくちゃ訛ってるんですが、それがまた良いです。
 
基本的にドリフ側は超能力的なものはないのに、能力持ちのエンズ側を圧倒していくのが読んでて爽快ですし、あっちもこっちも善人が一人もいないのが最高です
正義とか悪とか関係ない、勝つか負けるかすら遠く、シンプルに死ぬか殺すか、という点を見据えてるのが好きです。
良し悪しは自分の信念が決める、周りの評価などこれっぽっちも気にしないそんな主人公がカッコイイです。でも友達にはなりたくない。
法や善悪の縛りなく、とにかく合理的に行動を選択するのが読んでて気分いいです。
結果が全てとはまさにこういうことなんだなと思いました。
 
 
・もしも徳川家康が総理大臣になったら
これ、元は小説らしいですね。映画にもなったようですが、私が知っているのはマンガ版のみです。
コロナ渦に突入した日本で歴史上の偉人をAIで再現し、その偉人AIたちに国の首脳を担ってもらう、というぶっ飛んだ設定の話です。
ぶっ飛んではいるんですが、おもしろかったです。
随所に力技が入ってますが、会話がとてもおもしろい。
今の社会を構成してる大部分が無駄と欺瞞なんだなーというのを実感しました
 
その状態を、坂本龍馬が「おまんらはちっくとばかり都合がよすぎやせんか」という感じで表現してたのは、絶妙だなと思いましたね。
甘いとか自己中とかではなく「都合がいい」という言葉は、包括的でいて且つ確信的だなと思います。
 
このAI偉人たちの政策がけっこう現実的にも効果ありそうなものだなーと感じるんですが、これはきっと「都合がいいのが良い」人にはできないんだなと思いました。
うまいこと表現できないんですが、かなり読み応えのあるマンガです。オススメできます。
 
 
・オープンマリッジ (田中マコト)
おもしろくなかったです。
オープンマリッジの夫婦の話かと思いきや、オープンマリッジもどきを利用した離婚話的な感じで、タイトル詐欺だなと感じました。
とりあえず全部読みましたが、本当におもしろくないです。
謎の力技も多く、物語としても穴が多いと感じました。
単純にマンガとしての出来も良くないです。
 
 
・葬送のフリーレン
おもしろいです。
ファンタジー世界が舞台なのですが、最近掃いて捨てるほどある異世界転生チートのような陳腐な話ではなく、昔よくあった「異世界ファンタジーの世界の勇者一行の物語」の、後の話です。
物語の軸に勇者はいるんですが、主人公は勇者ではありませんそこがいい。
私は長命種と短命種の物語とかが大好きなんですが、これもそういう感じで、長命種の主人公の物語です。
 
主人公は強いんですが、その強さがいわゆる「生まれつきなんかスゲー力もってた」でもなく「生まれや血や遺伝によるもの」でもなく「神的な存在から与えられたチート能力」でもないところがイイ。
ただ強いだけだと話始まる前に終わっちゃうんですが、強さと枷のバランスがとてもいいなと思いました。
あとこれもテンポがいいです。
1話から数話で完結する小さな物語を重ねていく感じで、もっとボリュームある話を読みたいなーと思ったあたりでそこそこ長めの話がきたりします。
穏やかなそよ風のようにお話が展開され、穏やかなそよ風のような描写でけっこうハードな内容が描かれたりしていて、いずれにしろ読み心地がいいです。
私の中ではとても凪いでる感じなので、若干頭に残りにくいですが、その代わり読んでて疲れません。
オススメ。
 
 
・JKハルは異世界で娼婦になった
6巻はおもしろかったです。
1~5巻は6巻を集大成とするための長い序章ってのがなかなかうまいと思いました。
力技ではあるんですが、まじで? っていう展開になるので、6巻までは楽しめました。
7巻は正直あまりおもしろくなかったんですが、今後の展開の布石だとしたらまだ評価するには早いかなーという感じ。
とはいえすごくおもしろいマンガは布石すらおもしろいので、このマンガはその点ちょっと微妙。
あと出てくるキャラは胸糞悪いキャラの方が多いので、おもしろいけど読んでて不快です。
6巻の展開も意外ではありましたが、なるほどそっかーっていう感じだったので、そこまですごいという感触もないです。
あまりオススメはしません。
 
 
・ホテル・メッツァペウラへようこそ
好きです。
おもしろいかどうかは人によると思います。
人情系なので、つまんない人はつまんないと思いますが、私は好きです。
施設育ちの日本人の少年が遭難してフィンランドのさびれたホテルにたどり着き、そこのホテルマンになる、というお話。
 
まだ3巻までしか読んでませんが、↑のJKハルよりはオススメ。
登場人物が少ないので読みやすいです。
少しずつ個々のキャラクターの人となりと歴史が明らかになってくる感じも飽きさせなくていいですね。
不遇慣れしてる主人公が、不当に甘やかされることなく、まっとうにがんばって評価されていくところが好きです。
お話にちゃんと根拠があるのがいいですね。
 
言語のところは力技だなーと思いましたが、気にしなければさほどですね。
 
 
・変な家
おもしろいです。
youtuber雨穴の動画が元になっていて、その動画も私は見たんですが、おもしろかったです。
推理ミステリーって感じですかね、こういうちょっとずつ謎が明らかになっていくお話は好きです。
起点にあるのが「家の間取り」というのもなかなかいいです。
ありえないとは思うけどやろうと思えばやれるかも、というバランスがいい。
それをまとめて「変な家」という変なタイトルにしたのが秀逸だなと思います。
変な家って書かれたら「どう変なんだろう?」って思いますもんね、好奇心のくすぐり方が巧みだなと思いました。
 
ちょっと猟奇的なので、そういうのが苦手な方以外にはオススメできます。
個人的にはホラー味のある臨場感は動画の方が優位で、わかりやすさで言えばマンガが優位だと感じました。
映画は知らん。
 
 
とりあえずこんなところですね。
今日挙げた中ではBADONがダントツでお勧めです。
BADONが好きな方はメッツァペウラも楽しめると思います。
ブラックラグーンも新刊でましたし、その辺の感想も書きたいところですね。