刀剣乱舞-黎明-を見てきました。
結論から言えば、10点中3点。
映画の前作は10点中8点。私の中では。
その3点は、刀剣男子のクオリティが高いということへの評価なので、刀剣男子以外の部分は正直評価に値しない。
ややネタバレはありますが、映画自体にさほどネタバレというほどの要素もないので、事前情報を何も知りたくない！ という人以外は読んでも平気だと思います。
【良い点】
・刀剣男子の9割はホントに似てる（恐ろしいことに声も似てる）
・殺陣はすばらしい。
・ギャル審神者の人格がすばらしい。
・ラストの長谷部とギャル審神者のシーンはグッときた。
【悪い点】
・話が陳腐すぎる。
・重要じゃないシーンに時間と労力を割きすぎ。
・主役たちのバックボーンが薄っぺらすぎて発言に説得力がない。
・CG使いすぎ。
・終盤の主役二名のやりとりが冗長で中身ペラペラで見てらんない。
・シーンがぶつ切りだし、どこに重きを置いてるのかわからないし、記憶に残らない。
とにかくお話が陳腐すぎてまったくおもしろくない。
pixivの二次創作の方がもっといいのあるよっていうくらい酷い。
刀剣乱舞を好きな人が作ったものじゃないですねーっていうのがにじみ出てる気がする。
なんというか、このお話、刀剣乱舞でやらなくてもよくないか？ という感じ。
主役たちに魅力がないしとにかく薄っぺらい。
話の大枠は、時間遡行軍（歴史修正主義者？）が人をそそのかして鬼化させ、その力を利用して干渉が難しい時代への干渉の橋渡しにし、敵対存在の審神者がそもそも存在しないように歴史を変えようとする、って感じの流れです。
・鬼ってなんやねん。
・審神者を生まれないようにするってことなら、2012年が節目っていうのなんか説明してくれ。
まずこの二点が不服。
しかもこの鬼が主役の一角で、どえらいCG使ってやたらとよく出てくるんですが、どうも監督がここに力入れたかったらしいです。
じゃぁ刀剣乱舞以外の作品でやってくれよ……
刀剣乱舞の映画なのに、刀剣乱舞と関係ない敵役に力いれるって、ふざけてんのかな？
刀剣男子の描写にめちゃめちゃ金かけてるってならまぁわかりますよ、刀剣乱舞だもの。
でもこの映画は、刀剣乱舞の部分に力を入れてないんです。
製作陣のやりたいことをやるために刀剣乱舞を利用した感が見えすぎる。
金かけた割にとても安っぽい。
クライマックスの主役二人のトークのシーンはもう絶望だった。ひどい。
刀剣男子が全然出てこないし、設定が陳腐すぎるし、偽善が過ぎるし、ひどすぎて見てられなかった。
同じ設定使ってももうちょっと話うまく作れるだろ……と思ってしまう。
やっつけ感がすごい。
前作はあくまでも刀剣男子が話の主幹で、派手さはないものの見せ方とお話の作りでかなり良い物ができてました。
殺陣もよかったし、演出もすごくよかった。
ちゃんと刀剣男子を魅せるための作品になってた。
が、今作は刀剣男子がまるでオマケのようで、本当に残念。
舞台を現代にした理由がよくわからないし、各地から仮の審神者を集めてくる理由もわからないし、なんかもう「この状況に至った理由」がどれも想像できないので、ただその状況を作り出したかっただけ、というのがつまらなさを倍増させている。
本当に、刀剣男子が出てなかったら駄作の中の駄作だと思う。
ただ、おもしろいシーンがなかったわけじゃない。
序盤で三日月が抹茶ラテを飲んでるところはよかった。
堂々としていれば周りから奇異の目を向けられても気にならないのか、なるほど！ と思った。
あと三日月のウィンク（はぁい！）でいろいろ力技で誤魔化すのは普通に笑えた。
鈴木拡樹がウィンク上手すぎる。
ギャル審神者と長谷部のやりとりはアツかったし、素直で明るいギャル審神者が喋ることで場がめちゃくちゃ和むのすげー！ ってなった。
事前情報で「審神者にギャル？ まじかよ……」って思ってたんだけど、ごめん偏見だった。
ギャル審神者すばらしかった。
三日月、長谷部、骨喰、堀川、小烏丸、このあたりの演者は本当に見た目から喋り方までものすごく似てるし、なんなら声まで似てて、本当にこれ顕現された刀剣男子なのでは？ と思うほどしっくりきてた。
ゲーム内でのセリフを随所に入れてくれるのも嬉しいし、戦い方もキャラクターの性格をそのまま出してくれてるのは、よくわかってんじゃん！ ってなった。
だから戦犯は脚本と監督だと思う。
終盤の刀剣男子オールスターズ（一部）はけっこうアツかった。
ミュージカルで演じてる人とか、前作の人とか出てて、おぉ！ ってなった。
でもここも、なぜそうなったのか、というのがイマイチ不明瞭で……
あと苦戦してるときに、苦戦してるはずなのにすごい長時間拮抗してるんですよ。
さすがに一般人守りながら遮蔽物のない場所で、三人で数十人相手に戦ったら負けなきゃおかしいよ。
辻褄が合わないことが多すぎる。
あと源氏の重宝二振り出てきてるのになぜ鬼退治にその二振りを行かせなかったのか。
刀剣乱舞をやっている人からすると「刀剣乱舞の設定をまったく活かしてない」ように見える。
二時間使ってこんなぶつ切りのお粗末な話を作るくらいなら、二次創作を題材にショートストーリー三本とかで作った方がよほどファンは納得いったと思うんだけどなぁ。
刀剣乱舞好きじゃない人が無理矢理刀剣乱舞の二次創作作らされて駄作が出来ました、という感じです。
でも一個だけ素敵なことがあった。
これが気に入らないと思うくらい、私はまだ刀剣乱舞を好きなんだってのがわかったのが嬉しかった。