イギリスでもヒットしてるらしいですね、RRR

良いものには人種も国も関係ないってことなのかな。

 

 

※多少ネタバレするかもしれませんが、この映画は文章でネタバレを見ても視聴に影響はないと思います。見ないとわからないし、ネタバレで失われるような魅力ではないです。でもちゃんとネタバレを最小限に抑えて書いてます。

 

 

先日奥さんとインドの映画RRRを見てきました。

友達がものすごくオススメしてくるので気にはなってたんですが、上映時間が3時間というのがなかなかきつい(じっとしてるのがすごくしんどい)のでDVD待ちかなーと思ってたんですが、なんか急に見に行くか、という気になったので行ってきた。

結果的に見に行って本当によかったし、この金額で見ていいの? という満足感だった。

 

私がRRRで一番素晴らしいと感じたのが、バランスとテンポ

ツッコミどころはいっぱいあるんですが、それが絶妙に気にならないバランスの無理やり感なんですよ。

「いや、それは無理でしょ……」「それはない」とバッサリいってしまえない微妙な「おいまじかwww」みたいな感じとでもいいましょうか……感覚を言語化するの難しいですね。

なんというか、やろうと思えばやれるけど、やろうという発想はなかった、みたいな感じなんですよね。

映像としての誇張は当然あるとしても、それがギリギリ違和感として残らないところでバランスとってるですよ。

 

しかもそれがただ絵的に映えさせるためだけじゃなく、ストーリーに関わっていたり、流れが自然だったり、伏線の回収だったりと作りが緻密なんです。

序盤でなんてことない日常のシーンだと思ってたシーンがクライマックスにつながっていたときは拳を握りしめてしまいましたね。

見せ方がとにかくうまくて、緩急のつけ方やシーンのアングルが「いかにもだけどそれが見たかった」というものばかりなんです。

3時間の間にダレることも飽きることもなかった。

実写の映画では過去一好きです。

アニメはシンエヴァが一番好き。

 

 

テーマとしては、人種差別、階級差別、支配と自治、友情と復讐、といった感じでけっこう軽くはないです。

が、こいつをぶちのめしてほしい、と思ったやつをぶちのめしてくれるので爽快感はあります。

そしてちゃんと踊ります。歌います

エンディング後になんだかとても満たされた気持ちになります。

不完全燃焼感とか、納得いかない感じが無い。

 

 

あと単純にわかりやすい

 

 

これはすごく重要だと思いました。

視聴者に考えさせる作品もいいんですが、新海誠ディザスターシリーズみたいに婉曲すぎるともうまわりくどすぎて「結局何を表現したかったのかまるでわからない」ってなる。

RRRはそういったことがなく、単純に「かっこよくて爽快でおもしろいもん作ったよ!」って感じだから気負わず見れるんですよね。

最近見た映画がすずめの戸締りだったから余計にその対比で楽しめたというのもありますが、奥さんも大絶賛だったので、RRRは単純にクオリティが高いと感じました。

視聴後にLINEスタンプを買うほどには気に入りました。

ちなみにRRRLINE公式スタンプは何気に汎用性が高くて便利です

 

 

個人的には登場人物の数が多くないのも高評価です。

インド人男性は見慣れてないので顔の判別が私には難しくて、でもとにかくこの二人が主人公なんだな! というのがわかりやすく提示されるので脳が楽。

シーンも登場人物も全然無駄がなかったです。

どの要素もほとんどつながりが合って、それが縒り合されて結末に向かっていくんですが、そのテンポがまた絶妙で、このシーンを際立たせるにはこのシーンが必要だよね、という作りをしているのですごく流れが自然。

 

全体的に意味深すぎないのも良い。

意味深すぎて意味不明っていう作品が昨今多いので、単純明快だけど複雑に練られているというのは奇跡だと思う。

あともうアクションがかっこいいんですよ、緩急のつけかたがうまくて躍動感あるし、ワイヤーアクションだと思う動きも不自然さがそこまでなくて、想像の域を超えない絶妙な動きで見てて違和感がない。

 

そして個人的に良いと思ったのが、登場人物がみんな、ただの人間ってことです。

超能力者でもない、異能力もない、ミュータントでもない、勇者でも英雄でも神でもない、努力と鍛錬で強くなったっていうのが手に汗握るんですよね。

だって異能力とか超常の力をもってたら、どうせ最終的にはその力でどうにかするんでしょ? なんか覚醒とかするんでしょ? って思っちゃうんですよ。

でもRRRの人たちには超常の力はないんです。

他を圧倒する力を発揮はしていますが、それが納得いく描写が序盤からちゃんと織り込まれていて、あとはもう根性ですよね。

家族のため、友人のため、そういう目的で動く人たちと、上官からの命令で動く人や保身とプライドで動く人たちとでは明確に強さに違いが出てもおかしくない、と思えますし。

完全に合理的かと言われたらそんなことはないんですが、完全に合理的な映画だったらそれもうただのノンフィクションだしいきなりビーム撃ったりしたらドン引きですがそういう無理なことはしてないです、RRRは。

無茶なことはしてますが、無理なことはしてない。

 

 

1920年のインドが舞台、という設定なので、構図としてはイギリスの理不尽な支配とそれに抗するインドの人たち、って感じで、イギリスは終始悪サイドなので、イギリス人はこれ楽しめないだろうなーと思ってたんですが、調べてみたらイギリスでもヒットしてるとのこと。

そういえば劇中の悪役って<貴族っぽいクズ><軍の司令官><よくいる傲慢な小物のクズ兵士>なので、イギリスの一般市民の人たちからしたらそういうイギリス人は自分たちとは違う、と感じられるのかもですね。

嫌な奴の描き方がうまいと思います。

イギリス人の味方もいますし、ここもバランスが絶妙だと思いました。

個人的には中盤でイギリス人と暴力以外で戦うシーンは目からウロコだったし、最終的に好感がもてた。

待ち望んでいたシーンが素晴らしい焦らしと共に絶妙なタイミングで情熱的にやってくる上に、こっちの期待を裏切らないのでとにかく満足感がすごい。

見てほしい、見たら意味がわかると思う。

 

あと字幕も評判いいですね。

監修の人と字幕制作の人が連携してしっかり作りこんであるらしく、確かに言葉の選び方が素敵でした。

ただの字幕ではなく、読み物としての作品、といった感じ。

そして演者の表情が豊かで良い。

動きも素晴らしい。うなずき一つでも良さが伝わる感じがあります。

言語の壁をどう表現するのかもなかなか興味深かったです。

 

 

よかったところを書き始めたら書ききれないくらいなのですが、できるだけネタバレしないように書くとこれ以上は難しいのでこれくらいで。

とにかく見て損はないと私は感じました!

もう一回見たいのですが上映期間がそろそろ終わるという噂もあるので、未視聴の方はお早めに!