FFT(ファイナルファンタジータクティクス)の話の続きです。
前回はラムザとディリータが袂を分かつことになった、ディリータの妹であるティータの死まで書きました。
厳密には、貴族の一家に迎え入れられていたものの、所詮は平民とあっさり殺害されたティータの死、ですね。
ここがラムザとディリータの人生の岐路だったんだと思います。
ラムザはなんだかんだで名門貴族の子息なので、世間知らずでした。
腹違いで優秀な兄二人に対してコンプレックスがある、程度の悩みしか知らないおぼっちゃんだったんですが、自分と立場の違う人たちの窮状を知り、なおかつ家族として迎え入れたティータを兄が切り捨てたことで、出自や身分による格差、立場による命の価値の違いを目の当たりにし、これまで自分が浸っていた世界がエゴと他人の血にまみれていることを知りました。
おそらくですがラムザの周りには今まで「リアルな悪事」「リアルな悪人」というのはいなかったのだと思います。
そんな中で、親友の唯一の肉親である妹を、兄が人質としての価値も無いと殺害した。
これは自分がこれまで生きてきた価値観の根底を揺るがす、これまでの生き方との断絶だったんだと思います。
自分にとってかけがえのない大切な存在は、他人にとってはとるに足らないモノで、それは他人の意思で簡単に奪われ失われる……自分の大事なものを他人が大事にしてくれるとは限らない、ということを初めて知ったんじゃないかなと私は考えています。
父も母も亡くしているラムザにも、アルマという妹がいます。
腹違いの兄と違ってアルマはラムザが心許せる、本当の意味での唯一の家族です。
だからこそ、ディリータの気持ちもわかるだろうし、人質にされたのがもしアルマだったらさすがに兄も殺害しなかったのでは……結局命の価値は身分で決まるのか……とか思ったのかなぁと。
ディリータは頭が良く、冷静で合理的で大人びた青年でした。
庇護者がおらず、自分が妹を守っていくしかないという自覚があったでしょうから、自分の立ち位置や周りの人間をよく見てうまいこと立ち回るためにシビアに生きていたんだと思います。
守られる側と守る側では見えるものがまったく違いますから、守られる側のラムザとは立場がまるで違うんですね。
そういうところも見越してラムザの父はディリータをラムザの片腕に、と期待したのかもしれません。
ラムザの側にいることで、身分の違いというものを肌で感じることも多かったでしょうし、そういう理不尽に対する鬱屈なんかもきっとあったのでしょうが、妹のことを考えれば自分に与えられた役割を演じるしかない、と思っていたのだろうと考えています。
そんなところで、没落貴族アルガスが盗賊団に向けて「平民は家畜だ、家畜に神はいない!」と言い放つのを聞き、自分も同じ平民でありながら生活に困窮して盗賊になった者たちを貴族のために手にかける、そこへティータの誘拐が起きるも、自分の本来の立場で考えれば誘拐する側の言い分もわからなくはない。
そして助けられない無力な自分、助けてくれない偽りの家族、自分たちを家畜と見下す貴族という連中、それぞれに抱いた負の感情がティータの死で形になったんだと思います。
持たざる者である自分(平民)と奪う側である貴族という構図から、貴族が妹のティータを殺した、という認識になり、貴族(権力者・他者を利用する側)を敵とし、だったら自分がそっち側(利用する側)にまわって、もう誰も何も失わないようになってやる……!となったと考えています。
砦の爆発で爆心地にいたディリータが生死不明のままラムザはその場を逃げ出してしまいましたが、ディリータは生きていました。
本人曰く、妹のティータが守ってくれたそうです。
ここまでがゲームの第一章でした。
この後、二人がいる国イヴァリースは王の死をきっかけに二つの陣営が争いを始めます。
ベオルブ家が属する北天騎士団を擁するラーグ公の陣営と、南天騎士団を擁するゴルターナ公の陣営が、それぞれが擁立する王の後継者の後ろ盾として覇権を握るために相争います。
これを、獅子戦争と呼びます。
他国との戦争に負けて国が疲弊し荒れている中で、貴族が権力闘争で内乱しているわけですね。
亡くなった王には「オリナス王子(1歳)」と「王女オヴェリア(養女)」がいました。
ラーグ公はオリナス王子こそ正当な王位継承権者だと即位させ、その後見人になります。
ゴルターナ公は王女オヴェリア(亡くなった先王の腹違いの妹)こそイヴァリースの本来の統治者であると即位させ、後見人になります。
つまるところ獅子戦争は、ラーグ(北天騎士団)vsゴルターナ(南天騎士団)の覇権争いなわけです。
ちなみにオヴェリアは元々ラーグ公預かりで修道院で暮らしていた(ほぼ軟禁)のですが、ラーグ公の所領へ移送される時に誘拐されます。
この誘拐犯が、ディリータです。
傭兵として先輩のガフガリオンと共にオヴェリア移送の任についていたラムザは、ディリータがオヴェリアを誘拐するところを目撃し、ディリータが生きていたことを知りました。
オヴェリアの守護を任されていた騎士アグリアスと共に、ラムザはディリータを追います。
そこで、実はこのオヴェリア移送はラーグ公(北天騎士団)が画策したオヴェリア暗殺のためのシナリオだったことを知ります。
ここちょっと複雑なので補足します。
① ラーグ公はオリナス王子を擁立したので、王位継承権をもつオヴェリアが邪魔になった。
② ラムザ達による移送中に、南天騎士団に扮した北天騎士団に誘拐させて殺し、いかにも南天騎士団(ゴルターナ公)がオヴェリアを殺したかのように見せてゴルターナ公を失脚させようとした。
③ ラーグ公は移送チーム・誘拐チーム・暗殺チームと用意したものの、誘拐チームはディリータの陣営(と思われる者)に全滅させられ、移送チームは何も知らされていなかったラムザがこの計画を蹴ってガフガリオンと決別、暗殺チームはラムザ+ディリータに撃退され、狂言誘拐暗殺は失敗。
④ ディリータは神殿騎士団というラーグ公でもゴルターナ公でもない勢力に属しており、一度オヴェリアをラムザに預けることに。
この時点ではディリータがどこに属していて何をしようとしているのかは明かされません。
ラムザもそれを知らず、ただディリータが生きていてくれて、また会えてよかったと言います。
ラムザにとってディリータは最初から最後まで親友だったんだろうなと思います。
(BL的にはめちゃLOVEなんですけどねwww)
さて、ここでラムザはオヴェリアをどこの陣営に預けるか悩みます。
暗殺を企図したラーグ公は論外、ゴルターナ公は自分への嫌疑を晴らすためにラムザ達を処刑しそうなのでダメ。
そこで両陣営、両騎士団がうかつに手を出せない「教会」という勢力に助力を乞うことにしました。
どうにかこうにか教会の枢機卿(教皇に次ぐ権力者)にオヴェリアとアグリアスを送り届けることができました。
枢機卿は王家への忠誠心が高く、ラーグ公・ゴルターナ公両陣営にも中立の立場をとっていたので一安心。
それとは別の相談として、道中助けた機工士のムスタディオが犯罪組織に父親を人質にされ、「聖石」というものを要求されていることを話します。
要約すると、父親を助けてやるから聖石もってこいと枢機卿は言うのでラムザたちは隠し場所へ聖石を取りにいくのですが、ムスタディオの父親を誘拐した犯罪組織はそもそも枢機卿の手先でした。
ラムザ達が聖石を持っていることを知れば、枢機卿はオヴェリアやアグリアスを人質に聖石を要求してくるかもしれないと考え、急いで引き返します。
その道中で逃げてきたアグリアスと合流し、枢機卿サイドのガフガリオンを退け、枢機卿と対峙します。
ちなみにガフガリオンはラムザの兄でありラーグ公の腹心であるダイスダーグの手先で、枢機卿はダイスダーグと繋がっていたので、ガフガリオンが枢機卿サイドにいたわけです。
聖石をGETしつつラムザの口封じをしようとしたわけですね。
ガフガリオンは最後までラムザを自サイドへ戻る様説得しましたが、ラムザも頑固なので二人は対決し、ガフガリオンは死にました。
そして枢機卿に詰め寄ると、枢機卿は聖石の力を使い、伝説の悪魔へと変貌します。
ここまでが第二章です。
なっが。
結構はしょったつもりなんですが長いですね。
FFT知らない人でも楽しめるといいのだけど。
今回の大事なポイントは
・ディリータ生きてた
・王女オヴェリア
・聖石と悪魔
です。
最初はラムザとディリータについての考察をするつもりだったんですが、ストーリーを書かずに説明できなかったのでストーリー書いちゃった。
振り返りつつ調べたりしつつFFTをなぞるのすごく楽しいです。
まだ続きます。