慢性に陥った剥脱性口唇炎には・・・ | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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剥脱性口唇炎の方からの相談依頼がとても多いです。

 

僕が担当している剥脱性口唇炎の方だけでも10名以上現在抱えています。

 

それらの方々は炎症期で化膿を起こしていたり、炎症は終わったもののリンパ液の漏出を伴っていたり、炎症はないものの、一時的な炎症によって組織が破壊され、口唇の肥厚と剥脱を繰り返していたり、それらも終わり、唇の荒れ程度に落ち着いている人がいたり・・・

 

人によって状況が大きく異なります。

 

ただし共通して言えることは、いずれの人も「炎症」をうまくコントロールできず、悪循環に陥っている(もしくは陥っていた)という経歴を持っていることです。

 

唇は、東洋医学でいうと脾胃の主る所であり、胃の熱などが原因で唇が荒れたり、乾燥したりすることが剥脱性口唇炎の特徴であると考えている先生もいるくらいです。

 

僕はこれまでの経験から、脾胃の熱によって生じている剥脱性口唇炎は非常に少ないと考えています。

 

それよりも唇に傷がついた状態から外邪臥が侵入し、炎症が起こって口唇炎となり、ステロイドなどの治療を行うも、それによって炎症を完全に鎮めることができずに、そこから経絡的に〇〇脈の異常が起こり、〇○という邪が蓄積したことによって口唇の肥厚が始まると認識しています。

 

* 〇〇に入る言葉は経絡流注、漢方の基礎をしっかりと勉強していれば容易に判断がつきます。

 

そして男性よりも女性の方が治りやすい理由もここにあります。

 

過去の相談では、10~40代の方ばかりであり、50代以降の方から剥脱性口唇炎についての相談がないことからも容易にこの疾患の病態が理解できます。

 

この考え方に基づいて、丁寧に治療していくと、ほとんどのケースで口唇の肥厚が軽減していきます。軽減の度合いについては、年齢、性別、病歴、治療歴など様々な要因が複雑に絡み合うので、どれくらいの期間で変化が出てくるかは明確にすることができないのが残念ですが、今までの経験では、漢方を使用して全く変化がなかった症例は女性ではわずか1例(男性はもともと不得意なのでまた別)です。

 

剥脱性口唇炎の場合は、体質をすべて踏まえて判断する弁証論治よりも、剥脱性口唇炎という病名から弁別していく弁病論治を行った方が、確実に改善できると考えています。

 

専門家であっても、人それぞれ考え方は異なるため、いろいろな治し方があるとは思いますが、現時点で僕はこのように考えています。

 

本でいろいろと調べて、その情報を鵜呑みにしたり、誰かから情報を仕入れてその情報を鵜呑みにして臨床を行うのではなく、まず自分でなぜ剥脱性口唇炎という病気になってしまったのか、その裏に隠された病因病機について考察し、その考察が正しいかどうかを検証していくことが大切です。

 

その検証結果が正しいかどうかは、複数の剥脱性口唇炎の方が同時に改善するかどうか、つまり1例のみではなく、再現性のある理論であるかどうかで判断します。

 

今のところ、僕が担当している女性は、80%以上、改善しているという実感を得ていただいているので、僕の中では僕の考え付いた理論はあながち間違いではないと思っています。

 

また時には西洋医学の力をどうしても借りなければならないケースもあり、その場合でも、どのように医師に説明するか、どのように処置してもらえばよいかという部分にまで踏み込んでアドバイスすることで、効率的に治療することができるように気を配っています。

 

慢性に陥ってしまった剥脱性口唇炎の場合は、丁寧に〇○することが大切です。これをしない限り、どんな漢方を使っても症状が動かないケースはとても多いですが、逆に時間はかかるかもしれないけれど、〇○すると少しずつ変化が出てくるので、焦らず急がずに漢方を使っていただければ、光が見えてくると思います。