
最近、子どもたちのモチベーションを上げるために、練習前に長めの話をするように心がけています。その理由は、辰巳ジャンプは練習時間が短く、最小の時間内に最大の成果を上げていかないと勝てるチームにならないからです。最大の成果を上げるためには、中身の濃い練習をしなくてはなりません。では中身の濃い練習をするためにはどうするか?それは「やらされている練習から、子ども自ら考え、自ら挑戦する練習にしていくことで可能となると考えています。そのために「モチベーション(動機づけ)」を大切にしています。こうした話をしようと思ったきっかけは、7月6日に柔道の全日本ジュニアヘッドコーチである大迫明伸さんの講演を聞いたことにあります。
大迫さんは全日本ジュニアのヘッドコーチに就任してすぐの合宿で、今の選手たちのメンタル面にショックを受けたそうです。日本一に輝いた選手でさえも人間としての基本ができていない。「挨拶」「返事」「集団のルール」ということができない。練習に遅刻する、アドバイスをしても返事さえできない、挨拶ができない。このような選手たちが世界に通用するとは到底思えなかったそうです。そこで、脳科学の要素を練習に取り入れた。メンバーのうち15%がやる気のないメンタル状態だったら、練習の空気がよどむ。なので、今日の練習はどういう意味があるのか、どんな姿勢で望むことが必要なのかをしっかり理解させ、練習に挑む空気をピンと張り詰めたものにしてから練習を始めたといいます。
では「挨拶」がなぜ大事なのか?
スポーツは自分一人で競技するのではない。必ず相手がいて、勝敗という結果が出る。こちらの働きかけによって、相手がどのように対応してくるのかを“読む”必要がある。実は挨拶や返事も同じである。自分がした挨拶によって、相手がどんな気持ちになるのか、相手がどんな反応をするのかということを心得て(読んで)挨拶をするのである。自分がした挨拶によって、相手の気分良くなったら自分の勝ち。なにも反応が引き出せなかったら自分の負け。こういう小さな一歩からスポーツの勝敗が決まっていくのだ。これが大迫さんの意見でした。(大迫さんの講演内容は、公開しているメモマインドマップにまとめてあります。文章化はしないので、くわしく知りたい方は私に声をかけてください。)
私も同感しています。
今日の練習前には、こんな話をしました。
(1)創造力・想像力をつけるためには「知識」をできるだけ多く頭に入れていくことが大事だ。だから読書をする必要がある。
(2)頭を良くする方法がある。調べたり考えたりしたこと(インプット)を「人に分かりやすく伝える(アウトプット)」ことで、100%の知識になる。
(3)試合の中で、相手が怖がるくらいの「気迫」を表現したい。気迫で相手に勝っていこう。
(4)1972年のミュンヘンオリンピックで金メダルをとった全日本男子チームには、外国の選手から見たら怖くてバレーボールができなくなるような気迫の表情を見せる選手がたくさんいた。そんな気迫を辰巳ジャンプも持ちたい。
また、子どもたちには紹介しませんでしたが、ある子のノートにはこのようなことを書きました。
「『面白い』ということと『楽しい』ということは似ているけれども大ちがいです。楽しいということは苦しい練習を乗り越えて、自分の思うようにバレーボールができるようになったら感じられること。そのために気迫を持って、自分に厳しく練習をすることが大事です。」
今の辰巳ジャンプの子どもたちは本当に素直+頭が良くて、私がひとつ教えると、その何倍も考えて工夫して、練習に生かしてくれます。
みんなみんな優秀な子になるんだよ!
自分の頭で考えて、自分にとって大事なことは何なのかを判断して、分かりやすく表現できる人間になるんだよ!
そしてチーム(世界)のみんなを幸せにしていけるリーダーになるんだよ!
これが私の願い(祈り)でもあります。