入試も佳境に入り、気が付けば2か月以上、ブログを放置していましたが、とんでもない記事が『朝日新聞』に掲載されたので、更新します。
問題の記事は本日(1月30日)付・夕刊(1面)の「答えのない世界 中学入試は問う」(杉山麻里子記者)。
問題の記事は本日(1月30日)付・夕刊(1面)の「答えのない世界 中学入試は問う」(杉山麻里子記者)。
アクティブラーニング(AL)と英語を取り上げ、中学入試の「多様化」を指摘したものです。
ここで問題にするのは前者。
この記事は重要な問題を見過ごしています。
すなわち、「AL入試は明らかに生徒さんの負担(特に精神的負担)増につながる」ということです。
記事中に指摘されているように、AL入試に「『正解』がない」とされています。
しかし、本来、「正解」のない入試はあり得ません。
点数化できないからです。
逆に言えば「点数化」する以上は「正解」があるはずで、その基準が「暗記物」と異なり、出題者の「自由裁量」になっているだけのことです。
もちろん、「落ちてもいいや」という姿勢ならそれでも構わないのですが、いうまでもなく「学歴社会」の日本で入試はそんなに軽いものではありません。
一般に生徒さんは「入試には自分の人生がかかっている」と認識していますし、それでなくても多額の経済的負担と多大な身体的精神的負担がかかっています。
その状況で「『何が正解かが分からない』のに『正解』を探さねばならない」入試がどれだけ生徒さんの精神的負担になるかは、ちょっと想像すれば分かることだろうと思います。
この記事の特徴(と言ってもこの記事だけのことではありませんが)は、「当事者」である生徒さんについて何ら取り上げていないことです。
拾われている「声」は主に校長(ほかに首都圏模試センターの教務情報部長がAL入試の状況を解説しているだけ)で、こんな具合です。
「学力試験では測れない発想力や自分で物事を解決する力を見ることができた」(清水広幸・聖学院中学副校長)
「少子化」と国からの補助金削減に悩む中学側が、文科省肝いりのAL入試を、従来の入試にうまく適合できない生徒さんが合格できるかのようにアピールするのは当然のことです。
学校側の言い分は言い分として、では実際のところはどうなのかを検証するのがマスコミの役割のはず。
その際、「当事者」の生徒さんの状況は何よりも深く掘り下げられなければなりませんが、何ら取材されていません。
保護者の方がこういう報道を鵜吞みにすると「こんなはずじゃなかった」という事態に陥ります。
くれぐれも「マメ」に自力で情報を集めることをお勧めします。
(この項、終わり)