いんきんたむしは、水虫の原因菌と同様の白癬菌が表皮に寄生する事によって起こる皮膚疾患です。

陰嚢湿疹は、陰嚢の皮膚に発赤や湿疹が起こる事が多く、性器や肛門などの皮膚が薄い箇所にも痒みが及ぶ場合がありますが、いんきんたむしは、皮膚の角質層に含まれるケラチンという成分を栄養源にして繁殖する白癬菌によって起こるため、陰嚢、性器、肛門などに生じる事はほとんどなく、陰嚢の周囲の足の付け根(鼠径部)、太腿、お尻など、皮膚の角質層が豊富にある所に発生しやすい違いがあります。

陰嚢湿疹は、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、尿道狭窄などの排尿障害が背景に潜んでいる場合が多いため、頻尿、残尿感、尿漏れなどの症状が見られたり、アレルギーの影響からも症状が引き起こされる場合があるため、花粉症、慢性鼻炎、蓄膿症といったアレルギー体質による疾患を抱えている場合が多い傾向にあります。

いんきんたむしは、皮膚にカビの仲間である白癬菌が繁殖した事によって起こる感染症ですので、下着が汗ばんだ状態のままで過ごしていたり、陰部に皮脂や垢などの汚れが多く溜まっている状態が続いている事によって起こる事が多く、多汗症などで陰部が蒸れやすい場合に生じやすい傾向にあります。

また、いんきんたむしの人は水虫を抱えている場合も多く、あぐらを組んで座った際に、足に付いている水虫菌が股間にも付着して発症したり、水虫の患部を触った手で股間を触る事によって発症する事もあります。

病変部の違いは、陰嚢湿疹の場合には、掻き毟る事によって皮膚の発赤や湿疹などの症状が見られるなど、掻破性湿疹に発展する場合もありますが、皮膚には特に異常が見られないケースも多く見られます。

いんきんたむしの場合には、白癬菌が皮膚の角質層に寄生する事によって、皮膚に発赤や色素沈着が必ず生じるようになり、皮膚が隆起したような湿疹(丘疹)が見られるようになります。

そして、傷付いた角質層がポロポロと剥がれ落ちるため、カサカサして乾燥したり、粉を吹いたような状態になる場合があります。