死悲しいけれど、淋しいけれど、見えなくなるだけで、消えてしまうわけじゃない。ただエネルギーが別のなにかに変わるだけのこと。記憶であったり、夢の中だったり、肉体とともにまだある私たちのいるそこここに現れてはまた薄れるけれど、完全に消えることはない。12になる春、手術台で蘇生した時、悟った。手を洗っていて何故だかふと思い出した。