さして美味しい珈琲を出すわけでもないし、ケーキが絶品なわけでもない。
 ましてや人の集まるような立地条件でもない。


 けれども結構繁盛している、そんな喫茶店が近所にある。


 近所にはたまたま大きな川があるので、散歩がてら、たま~にその店に立ち寄る事がある。


 「これだけ客がいるのだ、今日はまた来たくなるような美味しいメニューがあるはずだ。」


 このような摩訶不思議な(?)期待を持って店に行くのだが、案の定、紅茶と見紛うような薄い珈琲(笑)に、甘ったるいケーキに裏切られつつ、虚しく中庭に見立てた広場の菊を見やるのである。

そしてその刹那、心が叫ぶ。


「ブルマンが泣いとるわっっ!!!」



…世の中には不思議な店があるものだ。


 まあ、3年に1度も行かないような店なのだから別に気に留めることもないのだが、行ってみるか、と思い立ったら立ったで、珈琲とケーキにしては結構な料金を取られることもあり、それなりに覚悟して行くのだ。
また冬の川を跨ぐ大橋は北風も冷たいしね…

 何が言いたいのかと言うと、
世の中にはこれと言った特徴もないような店が意外に繁盛してる場合がある、と言うことだ。