つい先日のことだが、仕事の関係で、就職支援に携わるキャリアカウンセラーの方とお話しさせていただく機会があった。


 お会いした際に、最近の就職事情についての話題を先ず切り出されるであろう事を予測したのだが、意外な切り口で会話が始まった。


 「今年と来年を境に、これからは社会に貢献出来ない企業が淘汰される時代に入っていくでしょうね。」


いきなり大きな話題から入った事にもよるのだが、驚いたのは他にも理由がある。


私の周りの友人、知人も異口同音にそのような一見予言めいた発言をしているからだ。

友人・知人の職業はサラリーマンを始め、カウンセラー、歯科衛生士、占い師、不動産鑑定人、音楽家と様々だが、いずれも哲学や心理学などにある程度造詣の深い人達であり、独自の勘の鋭さや感性を持った人達でもある。


 夢分析とともに、「集合的無意識」の概念を唱えたユングは、当時の人々の様々な不安の心理を嗅ぎ取り、第一次、二次大戦の双方を予測していたと言う。


 今回、様々な切り口はあるものの、共通しているのは、意識の大きな変容の前触れを皆が嗅ぎ取っているということだ。

これは、大きな天災の影響もあるのだろう。

私たちは、地球の自然とは切っても切れない関係にあることを今まさに実感している。


 人間はそれぞれが意識の領域と無意識の領域を持っており、それらの集合体が企業や学校、官公庁などの組織であり、それらが一つの社会を形成している。


 一方で、それらの組織は何らかの制約を人間個人に与えることによって統制を図り、場合によってはそのことがある種の「洗脳」にも繋がっている。


 その「洗脳」の内容が、もしも自然や人間の真の幸せと調和していなければ、その「洗脳」を施した集合体はもはや生き永らえる事は出来なくなる。


 今や、そういう時代に入ってきているのではないか、


キャリアカウンセラーの女性は多分そう言いたかったのだろうと思う。


 もちろん、「洗脳」などないにこしたことはない。

ある程度のルールは必要かも知れないが、「洗脳」までする必要などない。

「洗脳」までしなくてはならないのは、乱暴に言えば結局のところ、上の立場にある人間が自分のリーダーシップに自信を持てない事の表れなのだろうとさえ思う。



 「職業に貴賎はないと思うけど、生き方には貴賎がありますねぇ」


とは、誰の言葉だったか…


働きかた一つ取ってみても、「生き方」が剥き出しになる時代に入ってきている。