<東電第1原発>内閣官房参与、抗議の辞任
毎日新聞 [4/29 21:14]
内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(61)=放射線安全学=は29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。
小佐古氏は国会内で記者会見し、東京電力福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。
特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに
「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」
と異論を唱えた。同氏は東日本大震災発生後の3月16日に任命された。
小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、
「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。
この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、
私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」
と主張した。
小佐古氏はまた、政府の原子力防災指針で「緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきもの」とされた「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」による影響予測がすぐに運用・公表されなかったことなどを指摘。
「法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせている」
と述べた。
記者会見には民主党の空本誠喜衆院議員が同席、
「同僚議員に20ミリシーベルトは間違いと伝えて輪を広げ、正しい方向に持っていきたい」と語った。
空本氏は小沢一郎元代表のグループに所属する一方、大震災発生後は小佐古氏と協力して原発対応の提言を首相官邸に行ってきた。
菅首相は大震災発生後、原子力の専門家を中心に内閣官房参与を6人増やしている。【吉永康朗】
◇「子ども20ミリシーベルト」専門家も賛否
政府は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した年間許容量1~20ミリシーベルトの上限を根拠に採用。
1日8時間を屋外で過ごすとして子どもの行動を仮定した上で、放射線量が年20ミリシーベルトを超えないよう、「毎時3.8マイクロシーベルト」以上の学校などで屋外活動を1日1時間に制限する通知を文部科学省が19日に出した。
文科省は
「余裕を持って決めた基準で、実際に年間20ミリシーベルトを被ばくすることはない」
と説明するが
「子どもを大人と同様に扱うべきでない」
として他の放射線の専門家からも異論が出ているほか、日本弁護士連合会も反対声明を出している。
ICRP主委員会委員の経験がある佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は
「政府は厳しい側の対応をとっており、影響が出ることはない」
と理解を示す一方、
「被ばくを減らす努力は必要だ」と指摘する。【西川拓、永山悦子】
<記事抜粋終わり>
記者会見場で小佐古氏は涙で声を詰まらせながら、話した。
福島県を始め、周辺都県の住民の方々の先行きのめどの立たぬ不安をよそに、
某県の農家は汚染されているとわかっていながら野菜を出荷した事が発覚したり、
某市が「風評被害を払拭する為に」、県産の野菜や肉を学校給食に出したりする等、人命を軽視するような動きも報道されている。
背に腹は変えられぬ故の行為であるとはわかっていつつも、浅はかな印象はどうにも拭い難い。
当面は人命を軽視してでも、先ずは目先の金、という人間のエゴイズムの肥大化の進行が止まらぬこの国の行く末が、私はいちばん怖い。
今の原発事故収束に向けての対応を見るにつけ、正力松太郎や中曾根康弘が、学者や原発候補地の自治体に対し、
札束で頬っぺたをひっぱたいて黙らせて推進してきた原子力政策そのものが破綻しつつある事を感じ取る。
我々は敗戦や、その後の歴史から所詮何事も学んではいないのか、と哀しい気持ちにもなる。
自民党は今こそ超党派で、原子力政策を含めた過去の施策をつぶさに検証し、「何が機能し、何が機能しなかったのか」についてしっかり分析し、公表すべき時に来ている。
そして機能しなかったものについてはきちんと軌道修正していくだけの分別と、リーダーシップを積極的に発揮すべきである。
少なくとも、今我が国は、最先端技術を求められる分野におけるリスクマネジメントの脆弱さを世界中に発信してしまったのだ。
失われた信用と信頼を取り戻すには、ヒューマンエラーのみに焦点を当てるようなこれまでの検証の仕方では全く通用しない。
今は社会貢献を担う東電の、一民間企業としての潜在能力が問われており、そこは我々消費者も情に流される事なく注視していくべきである。
原発推進なら推進でもよかろう。ただ、今ここに生じていて素人目にも収束の覚束なさそうに見える現状の重い課題についてどう智恵を振り絞り、更なる技術革新の原動力へと変容させていくのか、
あるいは原発が真に安価でクリーンなエネルギーと言えるのかをしっかり検証し、重大なリスクに対応した場合に膨らむコストを含め、データを公開し、そのうえで国民に理解を求めていくべきなのである。
「国民がパニックを起こすから」という理由づけは国民を愚弄するとともに、自身の怠慢に対する合理化に過ぎない。
そんな防衛機制の心理など国民はしっかり見抜いている筈だ。
失敗から課題を抽出し、改善していくのは民間企業では当たり前の事だ。場合によっては問題解決に固執するより、解消という手段だってある。
ところが、その「解消」という手段が取れぬものに、我々は手を染めてしまったのである。
しかし、これらの事は、これまで日を当てて来なかった埋もれた科学技術を掘り起こす機会でもあるのだ。
我々は頭の枠組みを外す時に来ている。
あるいは、こういう混乱の事態になると、時代は右傾化しやすくなり、絶対的な統治者を求めたくなるのが世の常だ。
一次対戦の敗北による多額の賠償金支払に喘ぐワイマール帝国の混乱に乗じてナチスが台頭してきたり、政治的空白の状態の中で関東大震災が起きたが、それは海軍の山本権兵衛内閣が「挙国一致内閣」を掲げた直後だった。
大連立を模索する行為にマスメディアが危機感を発信出来ないのは、有事には瞬時に結束せねばならぬと思い込み、流されるままに小異を捨てて大同につこうとしやすい日本人のクセに対する洞察が足りない事によるものでもあると思う。
その大連立構想の言い出しっぺとして、原発推進をしてきた中曾根康弘の名前が上がっているのは、何とも皮肉な事である。
要はマスメディアの人間達も、「大本営発表」に伴うある種麻薬のような高揚感が好きなのである。それは単なる快楽主義に過ぎない。
快楽はその場では快感を齎すが、あくまで一過性のものである。
この期に及んでマスターベーションするのは止めにしていただきたいものである。
マスロー自身が書いた著書でもひもとき、真の人間とは何かについて、一度しっかり学んでみてはいかがかと思う。
脱線してはキリがないので、参考までに、「年間20ミリシーベルト」について考える資料を提示したい。
【放射線量と体への影響(単位:ミリシーベルト)】
0.1~0.3 胸部X線撮影
1 一般公衆が1年間に曝されてよい人工放射能の限度(ICRP勧告)
2 放射線業務従事者(妊娠中の女子に限る)
2.4 1年間に自然環境から人が受ける放射線量の世界平均
4 胃のX線撮影
5 放射線業務従事者(妊娠可能な女子に限る)が法定の3ヶ月間に曝されてよい放射線量の限度
7-20 X線CTによる撮像
100 放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が法定の「5年間」に曝されてよい放射線量の限度
250 白血球の減少
500 リンパ球の減少
1000 急性放射線障害、吐き気、嘔吐、水晶体混濁
2000 出血、脱毛など。5%の人が死亡
3000 50%の人が死亡。局所被曝については脱毛など
4000 局所被曝では永久不妊
5000 局所被曝では白内障など
7000以上 99%の人が死亡
※付記
予算委員会で殊更に「専門家が」「ICRPが」等と言い、「場当たり的な対応ではない」と主張している御仁だが、心理的には「ハロー(威光)効果」に縋り付くあまり、思考停止に陥っているのであろう。
前回記事に書いた通りICRP(国際放射線防護委員会)という組織の放射線防護に関する基本的な考え方は、
「放射線防護の主たる目的は、『放射線被曝を生ずる有益な行為を不当に制限することなく』、人を防護するための適切な標準を与える事」
であり、安全よりも利益を優先する立場である。
因みにECRR(放射線リスク欧州委員会)という科学者の組織は
「ICRPは原子力産業に極めて近い団体であり、功利主義的な損益計算に基づき被曝を正当化し、環境への放射線放出を認めている」
と批判している。
特にICRPとECRRでもっとも大きな見解の相違が、「低線量被曝の人体への影響」についてのものである。
ECRRが、
「一度に多くの線量の放射線を受けるよりも、低線量でも長期間にわたって放射線を受ける方が人体への影響が大きい」と主張するのに対し、
ICRPはそれについては無視、或いは軽視する傾向が強い。
どの考えに則って立場を取るかは、子を持つ母、妊婦、若者、中年層、壮年層等々、それぞれに置かれた立場により、違うと思うが、
一時の不安から逃れたいがために、様々な考えを先ず知ろうとしない事は、命を吹き込まれた者として愚かな事であると思う。
毎日新聞 [4/29 21:14]
内閣官房参与の小佐古敏荘(こさこ・としそう)・東京大教授(61)=放射線安全学=は29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。
小佐古氏は国会内で記者会見し、東京電力福島第1原発事故の政府対応を「場当たり的」と批判。
特に小中学校の屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに
「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」
と異論を唱えた。同氏は東日本大震災発生後の3月16日に任命された。
小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、
「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。
この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、
私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」
と主張した。
小佐古氏はまた、政府の原子力防災指針で「緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきもの」とされた「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」による影響予測がすぐに運用・公表されなかったことなどを指摘。
「法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせている」
と述べた。
記者会見には民主党の空本誠喜衆院議員が同席、
「同僚議員に20ミリシーベルトは間違いと伝えて輪を広げ、正しい方向に持っていきたい」と語った。
空本氏は小沢一郎元代表のグループに所属する一方、大震災発生後は小佐古氏と協力して原発対応の提言を首相官邸に行ってきた。
菅首相は大震災発生後、原子力の専門家を中心に内閣官房参与を6人増やしている。【吉永康朗】
◇「子ども20ミリシーベルト」専門家も賛否
政府は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した年間許容量1~20ミリシーベルトの上限を根拠に採用。
1日8時間を屋外で過ごすとして子どもの行動を仮定した上で、放射線量が年20ミリシーベルトを超えないよう、「毎時3.8マイクロシーベルト」以上の学校などで屋外活動を1日1時間に制限する通知を文部科学省が19日に出した。
文科省は
「余裕を持って決めた基準で、実際に年間20ミリシーベルトを被ばくすることはない」
と説明するが
「子どもを大人と同様に扱うべきでない」
として他の放射線の専門家からも異論が出ているほか、日本弁護士連合会も反対声明を出している。
ICRP主委員会委員の経験がある佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は
「政府は厳しい側の対応をとっており、影響が出ることはない」
と理解を示す一方、
「被ばくを減らす努力は必要だ」と指摘する。【西川拓、永山悦子】
<記事抜粋終わり>
記者会見場で小佐古氏は涙で声を詰まらせながら、話した。
福島県を始め、周辺都県の住民の方々の先行きのめどの立たぬ不安をよそに、
某県の農家は汚染されているとわかっていながら野菜を出荷した事が発覚したり、
某市が「風評被害を払拭する為に」、県産の野菜や肉を学校給食に出したりする等、人命を軽視するような動きも報道されている。
背に腹は変えられぬ故の行為であるとはわかっていつつも、浅はかな印象はどうにも拭い難い。
当面は人命を軽視してでも、先ずは目先の金、という人間のエゴイズムの肥大化の進行が止まらぬこの国の行く末が、私はいちばん怖い。
今の原発事故収束に向けての対応を見るにつけ、正力松太郎や中曾根康弘が、学者や原発候補地の自治体に対し、
札束で頬っぺたをひっぱたいて黙らせて推進してきた原子力政策そのものが破綻しつつある事を感じ取る。
我々は敗戦や、その後の歴史から所詮何事も学んではいないのか、と哀しい気持ちにもなる。
自民党は今こそ超党派で、原子力政策を含めた過去の施策をつぶさに検証し、「何が機能し、何が機能しなかったのか」についてしっかり分析し、公表すべき時に来ている。
そして機能しなかったものについてはきちんと軌道修正していくだけの分別と、リーダーシップを積極的に発揮すべきである。
少なくとも、今我が国は、最先端技術を求められる分野におけるリスクマネジメントの脆弱さを世界中に発信してしまったのだ。
失われた信用と信頼を取り戻すには、ヒューマンエラーのみに焦点を当てるようなこれまでの検証の仕方では全く通用しない。
今は社会貢献を担う東電の、一民間企業としての潜在能力が問われており、そこは我々消費者も情に流される事なく注視していくべきである。
原発推進なら推進でもよかろう。ただ、今ここに生じていて素人目にも収束の覚束なさそうに見える現状の重い課題についてどう智恵を振り絞り、更なる技術革新の原動力へと変容させていくのか、
あるいは原発が真に安価でクリーンなエネルギーと言えるのかをしっかり検証し、重大なリスクに対応した場合に膨らむコストを含め、データを公開し、そのうえで国民に理解を求めていくべきなのである。
「国民がパニックを起こすから」という理由づけは国民を愚弄するとともに、自身の怠慢に対する合理化に過ぎない。
そんな防衛機制の心理など国民はしっかり見抜いている筈だ。
失敗から課題を抽出し、改善していくのは民間企業では当たり前の事だ。場合によっては問題解決に固執するより、解消という手段だってある。
ところが、その「解消」という手段が取れぬものに、我々は手を染めてしまったのである。
しかし、これらの事は、これまで日を当てて来なかった埋もれた科学技術を掘り起こす機会でもあるのだ。
我々は頭の枠組みを外す時に来ている。
あるいは、こういう混乱の事態になると、時代は右傾化しやすくなり、絶対的な統治者を求めたくなるのが世の常だ。
一次対戦の敗北による多額の賠償金支払に喘ぐワイマール帝国の混乱に乗じてナチスが台頭してきたり、政治的空白の状態の中で関東大震災が起きたが、それは海軍の山本権兵衛内閣が「挙国一致内閣」を掲げた直後だった。
大連立を模索する行為にマスメディアが危機感を発信出来ないのは、有事には瞬時に結束せねばならぬと思い込み、流されるままに小異を捨てて大同につこうとしやすい日本人のクセに対する洞察が足りない事によるものでもあると思う。
その大連立構想の言い出しっぺとして、原発推進をしてきた中曾根康弘の名前が上がっているのは、何とも皮肉な事である。
要はマスメディアの人間達も、「大本営発表」に伴うある種麻薬のような高揚感が好きなのである。それは単なる快楽主義に過ぎない。
快楽はその場では快感を齎すが、あくまで一過性のものである。
この期に及んでマスターベーションするのは止めにしていただきたいものである。
マスロー自身が書いた著書でもひもとき、真の人間とは何かについて、一度しっかり学んでみてはいかがかと思う。
脱線してはキリがないので、参考までに、「年間20ミリシーベルト」について考える資料を提示したい。
【放射線量と体への影響(単位:ミリシーベルト)】
0.1~0.3 胸部X線撮影
1 一般公衆が1年間に曝されてよい人工放射能の限度(ICRP勧告)
2 放射線業務従事者(妊娠中の女子に限る)
2.4 1年間に自然環境から人が受ける放射線量の世界平均
4 胃のX線撮影
5 放射線業務従事者(妊娠可能な女子に限る)が法定の3ヶ月間に曝されてよい放射線量の限度
7-20 X線CTによる撮像
100 放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が法定の「5年間」に曝されてよい放射線量の限度
250 白血球の減少
500 リンパ球の減少
1000 急性放射線障害、吐き気、嘔吐、水晶体混濁
2000 出血、脱毛など。5%の人が死亡
3000 50%の人が死亡。局所被曝については脱毛など
4000 局所被曝では永久不妊
5000 局所被曝では白内障など
7000以上 99%の人が死亡
※付記
予算委員会で殊更に「専門家が」「ICRPが」等と言い、「場当たり的な対応ではない」と主張している御仁だが、心理的には「ハロー(威光)効果」に縋り付くあまり、思考停止に陥っているのであろう。
前回記事に書いた通りICRP(国際放射線防護委員会)という組織の放射線防護に関する基本的な考え方は、
「放射線防護の主たる目的は、『放射線被曝を生ずる有益な行為を不当に制限することなく』、人を防護するための適切な標準を与える事」
であり、安全よりも利益を優先する立場である。
因みにECRR(放射線リスク欧州委員会)という科学者の組織は
「ICRPは原子力産業に極めて近い団体であり、功利主義的な損益計算に基づき被曝を正当化し、環境への放射線放出を認めている」
と批判している。
特にICRPとECRRでもっとも大きな見解の相違が、「低線量被曝の人体への影響」についてのものである。
ECRRが、
「一度に多くの線量の放射線を受けるよりも、低線量でも長期間にわたって放射線を受ける方が人体への影響が大きい」と主張するのに対し、
ICRPはそれについては無視、或いは軽視する傾向が強い。
どの考えに則って立場を取るかは、子を持つ母、妊婦、若者、中年層、壮年層等々、それぞれに置かれた立場により、違うと思うが、
一時の不安から逃れたいがために、様々な考えを先ず知ろうとしない事は、命を吹き込まれた者として愚かな事であると思う。