皮膚には、お肌の水分蒸発を防ぎ保湿する機能があります。
健康なお肌はこの機能がしっかり働いているので、
保湿化粧品をあまり使わなくても、しっとり潤った肌を保つことができます。
この保湿機能が低下すると、肌の水分がどんどん蒸発していくので、
カサカサ乾いた肌になるのです。
この保湿機能には3種類あります。
ひとつは「NMF(天然保湿因子)」と呼ばれるもの、
もうひとつは「細胞間脂質膜」、最後は「皮脂膜」です。
NMFと細胞間脂質は、どちらも表皮の
一番表面の「角質層」に存在しています。
皮脂膜は表皮の表面にあります。
それぞれ以下のような特徴があります。
NMFは角質細胞の中にあり、主にアミノ酸と水からできています。
水はアミノ酸と結合するととても
蒸発しにくくなります。これを結合水といいます。
この、結合水が角質細胞をしっかり保湿しています。
2.細胞間脂質膜細胞間脂質膜は「セラミド」や「コレステロール」「レシチン」
などからできていて、角質細胞の隙間を埋めるように存在しています。
角質細胞をレンガとすると、ちょうどレンガとレンガをくっつける
モルタルの様なイメージになります。
角質細胞のすきまを細胞間脂質膜でしっかりふさぐことで、
お肌の水分の蒸発を防いでいます。
3.皮脂膜
皮脂膜は毛穴から分泌される油分と角質の脂質、
そして汗が混ざってできています。
皮脂は毛穴から出た「スクワレン」や「脂肪酸」
「トリグリセライド(中性脂肪)」に、角質由来の
界面活性成分である「レシチン」「コレステロール」が混ざり、
乳化された状態になっています。
皮脂膜が表皮を覆うことで、お肌の水分蒸発を防いでいます。
アトピーの肌は、この3つのすべての保湿成分が減少しているので、
保湿剤を使わないと水分蒸発を防ぐことができないのです。
参考文献:
波多野豊「アトピー性皮膚炎の病態と治療 アップデート II.アトピー性皮膚炎の新しい病因論 ~バリア機能異常の意義付け~」『アレルギー・免疫』Vol.18,No.10,22-31,2011