「髪」柏原芳恵

作詞・作曲 中島みゆき 編曲・石川鷹彦

 

芳恵さんは 私は好きな歌手の一人です。

シングルは わりにキャピキャピした感じが強く

男性に媚びる感じのイメージがありがちですが

この方のアルバムを聴くと 本当は随分と大人で

女性としての奥行が感じられ

見えない翳りも なんとも魅力があり

同性としても共感できる深い世界があります。

 

この作品が入ったアルバム「春なのに」は

実は最近購入して 初めて聞きました。

まず ウォークマンに入れて 

編み物をしながらイヤフォンでランダムに聴いていたのですが

まず「夜曲」が流れ 思わず うっと胸が詰まり

次にこの「髪」が流れて

聴いていると ポロポロと

不覚にも涙が流れてきて 声を上げて泣きそうになりました。

 

中島みゆきさんの作品ですが

しっかりと 芳恵さんの世界になっており

甘さと 若さと 品の良さがあります。

 

思うのですが 一人の歌手でも 低音から高音の間には

魅力があるところと ちょっと弱いところと・・・という風に

あるのが常です。

低音がキツかったり

高温がキンキンしたり

ぼやけたり 強すぎたり

どこか そんなところがあるものなのですが

この方の声は 低いところから高いところまで

とても豊かで 声がいいのです。

 

そして 少女のような可憐さも

子供のような無邪気さもあれば

グッと大人の艶っぽさも

淑女のような品の良さも・・・と

声に色々な表情があり 

表現力が豊かです。

 

あまり歌唱力を評価されなかったような気がするのですが

アルバムを聴くと この方の歌は本当に素晴らしいと

しみじみと思うのです。

 

この「髪」は やっぱり中島みゆきってすごい、と思うのですが

なんかもう 胸にウッと来る世界で

その世界を 素直に豊かに

芳恵さんが表現されて 泣ける世界です。

 

人を愛したことがない人には

わからないかもしれませんが

心から人を好きになったことがある人には

泣ける世界です。

 

「あなたの写真も残らなかったから

影をあなただと思いたい

切ってしまいます あなたに似せて

切ってしまいます この髪を

今夜旅立つあなたに似せて 短く」

 

この表現力には感動を覚えます。

芳恵さんは こんなにも歌が上手かったんだ・・・と

衝撃を受けました。

 

芳恵さんには 私はグラビアとかシネマとかの仕事などされず

ずっと 歌に専念していただきたかったと思います。

 

もっと こういうアルバムの世界を

世の中に発信されたらよかったのにと

すごく思います。