「人間ドッグ」というのもSNS等で時々見かける。「ドッグ(dog)」ではなく「ドック(dock)」だと思う。「dock」は、Wikipediaによると「船の建造、修理、係船、荷役作業などのために海岸、河岸、湖岸等を掘り込みまたは埋め立てて築造された湾入状・袋状の平面形の土木構造物」とのこと。船が点検や修理のために「ドック」に入るように、人間も病院等の施設に入って体をよく見てもらうという意味だと思う。「ドッグ」は当然「犬」であって、「人間ドッグ」だと「人間犬」になってしまい意味がわからない。

 

 

少し考えれば「人間ドッグ」がおかしいのはわかると思うんだけど、ネット上では結構見かける。X(Twitter)でも検索するとじゃんじゃん出てくる。ちなみに、Googleで「人間ドッグ」を検索してみたら普通に「人間ドック」の検索結果が表示されたから、「人間ドッグ」の誤りに気付かない人は多そう。今、画面の下の方におすすめにハッシュタグが表示されていて、「人間ドック」が69,105件、「人間ドッグ」が4,218件となっているので、正しく書いている人の方が多いということではあるみたい。

 

 

どうしてこういう間違いが発生するのかなと考えてみたんだけど、「直し過ぎ」の1つなのかなと。「ドッグフード」とか「ホットドッグ」を「ドックフード」とか「ホットドック」と言う人は多いと思う。多分、和語には「促音+グ」という組み合わせがないのかな?それで、日本語話者はこの発音に慣れてなくて苦手だから、「ドックフード」「ホットドック」になりがち。まぁ、意味は通じるからいいちいち指摘する人は少ないと思う。「バッグ」が「バック」、「ベッド」が「ベット」になるのも似たパターンだと思う。これは別にいいんだけど、「『ドック』は間違いで『ドッグ』が正しいのだ」という知識を得た人の一部が、「人間ドック」の「ドック」も「ドッグ」に直してしまうから「人間犬」が生み出されてしまうのではないかと思う。

 

 

 

 

 

似た例として「magic」の発音がある。これは、外来語としてカタカナで書く場合には「マジック」が定着しているけど、英文として読む場合や、歌詞の中に出てくる場合等、「マズィック」のように「z」の音で発音する人が結構いる。これもおそらく、「music」等の似た単語に引っ張られて直し過ぎているのではないかと思う。「music」はカタカナでは「ミュージック」と表記するが、本来の英語の発音では「ミューズィック」のように「z」の音になる。これは「busy」「fantasy」「invisible」等と同じ理屈だと思う。一方、「マジック」の方はつづりが「g」なので、「ジ」に近い音になる。だから、カタカナ表記の「マジック」に近い音でそのまま発音した方が本来の音に近いと思うんだけど、「ズィ」のような音に直す人がいる。「machine」も似た例。カタカナ表記の「マシーン」の「シ」の部分は、このままで良いと思うんだけど、「スィ」に直す人がいる。「sea」は「シー」ではなく「スィー」のように発音するのだと知った人が、同じように「マシーン」の「シ」も「スィ」に直してしまうのだと思う。「sea」も「see」も「she」も「シー」になってしまうというのはわかるんだけど、この3つを全て「スィー」のように発音する人もたまにいて、さすがにそれはマズいのではないかと思っている。

 

 

 

同じようで違う例として「ダックスフンド」がある。見かけるたびにモヤモヤする。これは「Dachshund」なので、文字が「d」なんだから「ド」でいいだろうと思ってしまいそうになるが、これって英語ではなくドイツ語なんだよね。ドイツ語の場合、語の最後の「d」は濁らないので、「Hund」は「フント」となる。

 

 

ちなみに、「ダックスフント」で検索したら、「もしかして: ダックスフンド」と表示された。

 

 

 

 

 

そういえば、「リポビタンD」の「D」は「デー」と発音するのが正しいと聞いたことがある。我々世代が子供の頃は、「ディー」や「ティー」を「デー」や「テー」と発音する大人って結構いた。私が通っていたそろばん教室の先生は親と同世代(おそらく今80代くらい)だけど、「ディズニーランド」のことをはっきりと「デズニーランド」と言ってたのを今でも覚えている。リポビタンDのCMでは「デー」と発音してると思うけど、これが「デズニー」のような年配の人の発音みたいだと感じる人も多いらしい。でも、Wikipediaによるとこの「D」もドイツ語だそうで、そうなると「ディー」ではなく「デー」の方が本来の音に近くなる。

 

 

 

 

 

あ、またちょっと思い出したけど、しばらく前にテレビ番組か何かで「ていじろ」という発音が笑われたみたいな話を聞いた。これは「T字路」の「T」を「テー」と読んだと思われたらしいんだけど、行った人は「丁字路」のつもりだったようで、これで正しいのに誤解されたみたいなことだったと思う。「T」と「丁」は、形も音も似ているから、これはさすがに罠だよなぁと思った。

 

 

 

 

 

日本語は、英語から入って来ている外来語が圧倒的に多いけど、ドイツ語(アルバイト、カルテ等)やポルトガル語(パン、カルタ等)等、英語以外の言語からの外来語も結構あり、そうなるとアルファベットを英語風に読むと本来の発音と離れてしまうケースもあるので注意すると良いと思う。

 

 

 

終わりにしようかと思ったけどまた一つ思い出した。女性のバレエダンサーが履く靴のことを「トゥーシューズ」と書く人が結構いるみたいなんだけど、「つま先」の「toe」の発音は「トー」か「トウ」が近く、「トゥー」だとだいぶ違ってしまうと思う。おそらく、「トゥーシューズ」と書いている人も、発音する時は「トーシューズ」と言ってるんじゃないかな。カタカナは発音とのズレがほとんどないので、やはり発音に近い形で書いた方が良いのではないかと思う。