「心理学概論」が面白かったので、「教育・学校心理学」も取ってみた。
「心理学概論」とか他の科目とぶってる内容も結構あるんだけど、特に印象に残ってる内容というと、「チャンク」という考え方かな。「電話番号など、並び方に意味や法則がない文字の列は覚えるのが大変だけど、意味のある文なら結構長くても覚えられる」みたいな話は聞いたことがあったし、自分の経験としても実感があると思う。これをさらに発展させたような、「一つ一つの漢字としてとらえた場合と、二文字の名字としてとらえた場合、三文字の名字としてとらえた場合とで覚えやすさが違う」という話は面白かった。でも、たしかに、何かを覚えなければならない時、意識的、無意識的に分類してグループにして頭に入れている時はあると思う。
人の「記憶」にも種類があるというのも、何となくは知っていたけど、改めて整理することができた。ドラマや映画でたまに「記憶喪失」という設定があるけど、何かのショックで一時的にそうなってしまう場合は、「エピソード」を忘れてしまうことが多いと聞いたことがある。いつ、どこで、何をしたというようなエピソードは忘れてしまうが、自転車の乗り方のような「体で覚えたこと」は忘れにくいみたいな話だったと思う。「キャッスル」というアメリカのドラマに、名前も家の住所も職業も何も覚えていない記憶喪失の人が登場して、「じゃあとりあえずこの書類にサインしてくれる?」と言ってペンを渡したらサインはできた、みたいなシーンがあった。「サイン」は体で覚えているからできたってことらしいんだけど、そうなると「自分の名前」って「エピソード」なのか…。欧米に比べると日本は「サイン」をする機会が少ないし、漢字だと角数も多いからこの手は使えなかったりするのかな。
ちなみに、上記のドラマでは、その人はサインはできたけど、誰もその文字を読み取ることができず、結局名前はわからないというオチだった。「字が汚いから医者じゃないの?」みたいな冗談も出ていたと思うけど、「医者は字が汚い」ってアメリカではあるあるなのかな。
「学校で『偏西風』を習っても、意識しないとそれが台風のコースと関係していることに気づかないことがある」みたいな話もあって、確かにそうだと思った。中学の時に「偏西風」というワードを習ったことは覚えていると思うし、日本人なら、一般的な台風のコースって何となくイメージできていると思うけど、これを結び付けて考えている人はそれほど多くないような気もする。
「教科書は厚い方がいい」というのもとても面白かった。覚える量が多いほど大変だと普通は思ってしまうが、内容や覚え方によっては情報が多い方が良い場合もあると。たしかに、「覚えるのが大変」という時の「覚える」は「丸暗記」を指すことが多いわけで、「知識として理解して頭に入れる」という時の「覚える」とは違うもんね。
「メタ認知」の話も興味深かった。以前、家庭教師の生徒(中学生)が「テスト範囲のワークは全部終わった」と自信満々で言ってきたので、「じゃあ、これと同じ問題がテストに出たら全部正解できる?」と聞いてみた。そしたらものすごくびっくりした顔で「あ…無理かも…」と言い出した。私はワークを見てすぐに、「間違えたところは解答を見て赤ペンで書き写しただけで、理解してるわけじゃないな」とわかったから、上記の質問をした。多分、その生徒に悪気は全くなく、学校で「ワークの〇ページから〇ページまでをやっておきなさい」「間違えたところは赤で直しなさい」と言われたからその通りにしたんだと思う。
「範囲のワークをやれ」という指示を、「とりあえず解答欄が埋まっていればOK」と理解してしまう生徒は結構いる。「学校の先生が『ワークをやっておきなさい』と言うのは、『テストにそれと同じか似た問題を出すから、その時に正解が書けるように準備しておけ』という意味だよ?『ワークの解答欄を埋めなさい』という意味じゃないよ?」「似た問題がテストに出たら答えが書けるという状態になって初めて『ワークが終わった』になるんだよ?」「ワークはゴールではなく手段で、ゴールはテストなんだよ?」みたいな説明をすると「なるほど…」となる。漢字とか方程式とか天気図の見方とか、学習の内容自体を理解することは当然大事だけど、自分がどれくらい理解できているかを把握すること、どうやったらもっと理解できるかを知ることも非常に重要ということだと思う。
簿記の勉強をしていた時、Yahoo!知恵袋の簿記のカテゴリを時々見ていたけど、「何度も受けてますが合格できません。今後どうやって勉強すればいいですか」みたいな質問がたまにある。本番で緊張してしまったとか、体調が悪かったとかで不合格になることは誰にでもあると思うけど、3回も4回も落ちてしまう人の場合、簿記自体の理解よりもメタ認知の方に問題があるのかなと思ったりした。まだ合格できるレベルに達していないのに「行ける」と判断して受験してしまい不合格みたいなケースがあるのかもしれない。
最後の方に発達障害に関する話もあるけど、これも難しい問題だと思う。私が家庭教師をやり始めたのは20年以上前だけど、教えるのが非常に難しい生徒というのは結構いて、「1対1でもこんなに大変なのに、一度に30人以上相手にする学校の先生は本当に大変だな…」と思っていた。当時は発達障害という言葉は今ほど一般的じゃなかったと思うし、特に何か診断がついていると言われたことはないんだけど、今思うと、特に大変だった何人かは何らかの発達障害があったのではないかと思う。近年は、理解が広がり、診断や支援につながりやすくなってきているのだろうから、それは良いことだと思う。
