「ら抜き言葉」について書いたので、今度は「さ入れ言葉」。「ら抜き」よりは知名度低いかと思うけど、使ってる人は結構いる。

 

以前、某男性アイドルグループの番組で、ゲストを呼んで料理を作るコーナーがあった。そこで毎回、司会役がゲストにリクエストを聞いて、「作らさせていただきます」と言っていた。いつも気になってた。この「さ」は不要。教科書的なルールでは「作らせていただきます」が正しい。

 

「作らせていただきます」は、動詞の使役の形に「ていただきます」がついた形なので、使役の形の作り方を確認。


まず、グループ3(カ変、サ変)

 

来る→来させる

する→させる

 

 

続いて、グループ2(一段活用)

 

借りる→借りさせる(上一)

食べる→食べさせる(下一)

(~る→~させる)

 

 

最後がグループ1(五段活用)

 

買う→買わせる

書く→書かせる

出す→出させる

待つ→待たせる

呼ぶ→呼ばせる

読む→読ませる

帰る→帰らせる

(~u→~aせる)

 

 

こうなる。グループ3(カ変、サ変)、グループ2(一段)は全て「~させる」となるけど、グループ1(五段) だけ「~aせる」となる点がポイント。グループ1(五段)の動詞の中で、「~させる」となるのは、終止形(辞書形)が「~す」の動詞のみ。「話す、押す、返す」などがある。

 

最初の話に戻ると、「作る」は「る」で終わるグループ1(五段)の動詞なので、使役の形は「帰らせる」と同じで「作らせる」になる。「いただきます」をつけると「作らせていただきます」となり、「さ」は入らない。

 

でも、テレビなんかを見てると、この「さ入れ言葉」結構言ってる人がいるんだよね。「歌わさせていただきます」「読まさせていただきます」など。「ら抜き」の場合は、一文字抜いて短くなるからまだわかるけど、なんでわざわざ長くするんだろう?と疑問だったけど、これ、「ら抜き」の時と同じで、他のグループの影響があるんだろうね。グループ1(五段)以外の動詞の使役は全て「~させる」だから、グループ1(五段)も「さ」を入れて「~させる」になれば、全てのグループで「~させる」に統一されることになる。「~す」の動詞は元々「~させる」だから、それも影響してる可能性がある。「話す→話させる」は、たまたまそうなってるわけだけど、見かけ上はグループ3(カ変、サ変)、グループ2(一段)と同じ形になる。じゃあもう全部「~させる」でいいじゃんて話なのかも…。

 

そもそも、「~させていただく」を使う必要がない場面でも使う人が増える傾向にあるみたい。「新曲を出させていただく」「映画に出演させていただく」「入籍させていただく」とかね。使う人、使う回数が増えるにしたがって、ルールが変化してきたのかもしれないな。