階段の、植えこみ。なんやと、思うて見てたら。

   メジロですよ。おとうさん。今年もやってきましたよ。

  階段の、植えこみだけでは、満足せず。

   数少ない、ツバキの花にも。顔をつっこんで。花粉だらけの、顔になっているんだよ。

  おとうさんが、元気だった頃は。あそこを、通る度に。

   「ほんまに。メジロは、かわいいのう。」いうて。

   忙しく飛び回っている、メジロを。ながめていたよねえ。おとうさん。

  そういえば。

   息子が、塗り絵をしてた時。

  ウグイスに、緑色を、ぬってるのを見て。

   「それは、ちがうぞ。」

   「ウグイスは、そんな色、しとらん。」て、言ったんだよね。おとうさんが。

  そうしたら。

   「あんなあ。おとうさん。」

   「幼稚園で。先生が、ウグイス色。いうて、教えてくれたで。」

   「ウグイスの、色やから。ウグイス色いうんと、違うん。」て、いわれてね。

  おとうさんの、ことだから。息子を。

   団地の。スベリ台の横の。ツバキの木の所に 連れて行って。

   「これは、何という鳥じゃ。」

   「メジロ。」

   「そう。メジロじゃ。」

   「むかしなあ。ウグイスが、藪の中で、鳴いとって。」

   「ええ声で鳴くのう。いうとったら。」

   「たまたま、出てきたんが。メジロ、じゃったんじゃ。」

   「それで。メジロのことを。ウグイスと、おもうてのう。・・・・」いうて。

   例のごとく。ウンチクを、ひろうしたんだけどね。おとうさん。

  それでも。なぜか、今でも。息子たちは。

   ウグイス色は。メジロの、色ではなくて。ウグイスの色だと、思っているんだよね。

  だってねえ。田舎の実家の、庭で。

   せっかく、「ホーホケキョ」って。鳴いてくれて。

   「ほら。ウグイスや。」

   「ウグイスが、きとるで。」いうても。

  すぐそばの、茶色い鳥には、めもくれず。

   「どこ、どこ。」って、さがすんだものね。

    笑うよねえ。   ねえ、おとうさん。