おとうさん。おはよう。

  窓を開ければ、さわやかな風。ああ、いい気持ち。

   秋、秋、秋ですよ。おとうさん。

  洗濯日和やわ。思って空をみあげたら。ぽっかり。雲が、浮かんでいるんですよ。

   あの雲に乗って、行けるものならねえ。おとうさん。

  そういえば。むかし。

   「~ちゃん、雲にのる」って。本がはやってこと、あったよね。

   映画にも、なったんだけど。

  その、話しをした時。おとうさんたら。

   「わしは。まだ、こまかったし。」

   「田舎のことじゃけえ。映画は、よう知らんけど。」

   「あの本を、読んで。」

   「ほんまに。水ん中の雲に、乗れると思いこんでのう。」

   「雨があがって。水たまりが、できとるんさがして。」

   「何回も、そん中に。飛び込んだことが、あるんじゃ。」

   「ほんまは、池んなかじゃけど。わしは、泳げんけえのう。」

   「それで、どうなったん。」いうたら。

   「あの、水たまりは。浅いけえ、あかんのんじゃろか。」

   「この、水たまりじゃったら。ええんじゃろうか。思うてのう。」

   「何回も、水たまりに、とびこんだんじゃ。」

   「そのたんびに、泥だらけになって。」

   「泥染みは、なかなか、落ちんのんじゃ。いうて。おこられたんじゃ。」って。

   苦笑いしてたこと、あったよね。おとうさん。

  あんなに、雲に乗ってみたい。言うてたんだものね。おとうさん。

   今は。雲に乗って。大空を飛び回って、いるんだろうね。きっと。

  きょうは。どの辺りを、とんでいるのかなあ。おとうさん。

   できない、相談なんだけど。一緒に、乗れたらいいのにね。

     ねえ、おとうさん。