おとうさん。おはよう。

  また、台風が、来てるよねえ。いい加減に、してほしいよね。

   『人には。耐えられない、苦しみはない。・・・」とか、なんとか。

   『苦労は、買ってでも。・・・」とか。いうけれど。

   やっぱり、苦労も、苦しみも。無い方が、いいに。決まって、いるよねえ。

  わたしは。ここで、インスタントコーヒーでもって。

   のんきなこと、言ってるけど。『さて、どうしよう』って。

    頭を、抱えている。そんな人も、いるんだよね。

  正月、ついたちに。救急車で、行った時。

   『なんで。なんで、うちだけ。・・・』

   『せめて。もう、何日か。あとでも。・・・』って。

   襲い掛かって、来るものに。あらがっても、しかたないのにね。

   「なんで。なんで」ってね。

  昨今の。出来事を、見ていると。ついつい。我が家の、できごとが。

   重なって、思い出されて。心が、痛むよねえ。おとうさん。

  なにが、いいのか、悪いのか。

   正解、不正解なんて。ないんだろう、けどね。おとうさん。

   残された、ものは。

   ああもすれば、良かったかな。こうも、してればって。思ってね。

  おとうさんに。置いてけぼりに、された、わたしは。

   あの日から。おとうさんと。過ごした、日々を。思いだしながら。

   思い出、探しの。旅に。出たん、だけどね。おとうさん。

  『同行二人』て。弘法大師さまとは、ちがうんだけど。

   わたしと、おとうさんの。『同行二人の、夫婦旅。』

  どこまで、この道は。続いているのか。分からないん、だけど。

   もう、少し。続けて、みませんか。おとうさん。

  「あんな、ことも。あったよ、ねえ。」

  「いや、いや。こんなことも。あったぞ。」って、いいながら。

   二人の、思い出の、旅。『同行二人の、夫婦旅』をね。

     ねえ、おとうさん。