おとうさん。きょうの、お昼寝タイムは、終わり。

   贅沢にも。きょの、おやつは。何に、しようかって。

   冷蔵庫を。あさって、いるんですから。笑えますよねえ。

  いい時代です。冷蔵庫の中には。いつも、氷が、あるんですから。

   ひとかけら、口の中に、入れただけで。こんな、暑い日は。

    なによりも。おいしい、おかしだよね。おとうさん。

  おとうさんや、わたしが。子供のときは。冷蔵庫は、高嶺の花でね。

   お店に、行くと。氷をいれた。

    金庫の、ような。分厚いドアの、冷凍庫があってね。

   かき氷が、ほしい時は。ドンブリを、持って。買いに、行くと。

    冷凍庫から、氷をだして。かき氷を。作って、くれたんだよね。

   赤や黄色の、ミツを。かけて、もらうんだけど。

    その、色選びでも。兄弟げんに、なるぐらいでねえ。あのころは。

  だからねえ。おとうさん。子どもたちが。できてからは。

   ちょうど、マイなんとかで。

    家で。かき氷が、はやって、いたことも、あって。

   「これが、ええと。思うで。」いうて。

   一台で、いいのに。二台も。氷削り器を、買ってきて。

   「どっちが。削り、やすいかのう。」

   「ほら。二人で、やってみい。」

   「赤いミツが、ええか。」

   「青いんが、ええか。」

   「黄色かのう。」

   「おとんは。抹茶が、ええのう。」って。

   親ばか、まるだしで。

    子ども達より、おとうさんの方が。はしゃいで、いたんだよね。

   そしてね。

   「子どもんときは。こうやって。できん、かったんじゃ。」

   「高かったけのう。」いうて。

    練乳を、買ってきて。かき氷の、上から。かけて。

   「うまい。うまい。」ってね。

  きょうの、ような。暑い日は。おとうさんが、元気だったら。きっと。

   「かき氷。作って、やろうか。」ってね。

   言うでしょうねえ。おとうさん。

   「買い物の、帰りに。練乳も、買うてこい。」いうてね。

     ねえ、おとうさん。