「木曽路は、すべて。・・・」と、言う。

  名作が、あるけれど。ほんと。

   行けども、行けども。山の中だよね。おとうさん。

  家に、向かって、車を、走らせながら。

  「ここは、なかせん道、やわ。」

  「ここは。歌の、舞台の。あそこやわ。」って。

   演歌の、歌を。口ずさみながら。

  「そうや。おとうさんに。この歌。聞かせた、ことが。あるんやで。」って。

   息子に。スマホで。聞かせて、あげたんだよ。おとうさん。

  それから。「木曽のなあー・・・・」て、言いながら。

   御嶽山を、あとにした、ところまでは。よかったん、だけどね。

    また、寄り道してね。途中の、滝を。見に、行ったんだよね。

  おとうさんが、元気だった時。二人で。よく、行ってた。

   温泉の、場所にも。滝は、あったし。

   いくつか。他の、ところもにも。滝を、見に。行ってたから。

    少々。軽く、考えて。いたんだよね。きょうは。

  「帰り、道やし。ええか。」いうて。息子も、言うしね。

  だから。滝までの、道が。あんなに。あがったり、下がったりと。

   落差が、あるなんて。考えても。みなかったよ。

   一キロ少々の。林の中の、道が。あんなに、大変だなんてね。

  「行った、かいが、あったかな。」って。聞かれたら。

  「もちろん、もちろん。」て。いうんだけどね。

  そうそう。初めての、体験と、言えば。

   クマ、注意って、書いて。

   カンカンならす、棒が。途中に。何か所か、あった、ことだよね。

  欲張りな、私たちは。最後の、最後まで。

  「ここも。見て行こうか」ってね。

  「鍾乳洞が、この、先に。あるんやけど。」と、いったら。

  「これが、最後やで。」いうて。

   また、また。寄り道、したんだよね。

   気が付けば、

  「あんな、所まで。のぼっ、とったんや。」ってね。

   洞窟の、中やから。気が付かな、かったけど。

   外に出て。またまた。ビックリ、したんだよね。おとうさん。

  そう、言えば。何年か前に。次男と、三人で。

   この、近くまで、来たこと、あるんだよね。

   その時は。街中の。温泉街を。巡って、終わったんだけど。

   あの時も。夜中に、家を出て。なかなかの。

    ハードスケジュール、だったんだよね。おとうさん。 

   ついたのが。あさ、早くてね。

   「食べるとこ。どこもないなあ。」って。

    名物の。駅弁を。買って。食べたんだよね。

   その後で、朝市に、行ってね。おとうさん。

   つぎから、次に、思いだすよねえ。あの日の、ことを。おとうさん。

   どんなに、いい旅を、しても。

    思い出すと。やっぱり。おとうさんが、元気で。

    三人で、行けてた。あの時の。旅の方が。楽しかったよね。

     あたり、まえだけど。 ねえ、おとうさん。