おとうさん。おはよう。

  『なんでも。終わりよければ。すべて、よし。』って。

   よく、言われるけどね。おとうさん。

  わたしと、おとうさんの、人生も。デコボコだらけで。

   「もう、おとうさんは。・・・」

   「おまえ、こそ。」ってね。

   波風が。たったことも、あったけど。

  最後は。おとうさんの。

   「おおきに。おおきに。」で。

   終わったん、だよね。おとうさん。

  今度の、旅も。土砂降りの、中で、はじまって。

   何度も。大変な、ことは。あったけど。

   人の、情けに。助けられ。お天気に、助けられ。

   なんと、いっても。息子の、パワーに。助けられ。

   おとうさんとの。いい。思い出の旅が、できましたよ。おとうさん。

  きのうの、夕方。

   『牛に、ひかれて。何とか参り』って。行っててね。

  「もう。ここから、折り返してたら。」

  「お城は。無理やで。」言うてたのにね。

  それでも。

  「せっかく。来たんや。」

  「最後に、行って見るか。」いうて。行ったらね。

  天守閣は。見れなかったけど。

   敷地内は。七時まで、良かったんだよね。

  「いい、城やなあ。」

  「見事や、ねえ。」いうて。二人で、喜んで。

  外国の、人とも。お互い。通じない、片言で。話してね。

  そうそう。温泉街も、あって。

   『千と、何とか』の。温泉には。行けな、かったけど。

  「いい、湯やったなあ。おかん。」

  「ここは。足湯も、あるで。」いうてね。

   親子で。はしゃい、だんだよね。おとうさん。

  人生の、旅も。ひかれた、レールの。上からは。

   けっして、逃げることは。できないんだ、けどね。人で、ある限り。

   たとえ、その先に。何が、待って。いようとも。

  こらから、先。わたしの、残された。人生の、旅も。

   『春夏秋冬、雨あられ。』

   何が、まって、いるか。分からないん、だけど。ねえ。おとうさん。

  最後は。今度の、旅のようにね。

   「おとうさん。いい、旅でしたよ。いろいろ、あったけど。」って。

   話して、あげれると。いいよねえ。おとうさん。

  思い出。いっぱい、持って。そちらに、行く日まで。

   待っててよね。 ねえ、おとうさん。