おとうさん。きょうは。日本一の。あの。大きな、ダムのある。

   あそこに。行って、来ましたよ。

   「ここに。おとうさんと。きたんやで。」

   「宿にも。泊ったんよ。」って。

  お父さんと、行ったときの。反対の、ルートで。

   きょうは。来たんだ、けどね。

   思い出の、場所に。立った時は。なんとも、言えない、思いでしたよ。

   「ここは。おとうさんと。」

   「ここで。おとうさんと。」と。

   次男に。あの日の、思い出を。話しながら。

   ダムの、淵をまわって。展望台にも。行ったんだよ。おとうさん。

  今、思い返しても。

   きのうの、出来事のように。思えるのにね。おとうさん。

  違うことと、いえば。

   きょうは。おとうさんが。いないと、言うことと。

   大きな、虹が。見れたと。いうこと、だよね。おとうさん。

   おとうさんと、行った時は。水かさの。少なかった、せいか。

    虹は。見れなかったん、だものね。

  「おかん。今回は、あんなに。雨が、降ったのに。」

  「虹が、いっぺんも。見られん、かったなあ。」って。

   次男が。言ってた、ところ。だったんだよ。おとうさん。

  それが。あんな、ところで。大きな。虹が。見れたんだ、ものね。

  私たちって。ほんとに。虹に、縁が。あるよねえ。おとうさん。

  それから。

   『牛に、ひかれて。何とかって、いうでしょ。』

  せっかく、ここまで。来たんやから。いうて。あそこにも。行ったんだよ。

  「ここから、やったら。もと来た道を。バックやで。」

  「行くん、やったら。先に、言え。」って。

   次男が、言うかからね。

  「まあ。そう、言わんと。」

  「ほやから。おかんに、ひかれて、何とかや。」いうてね。

   文句、言われながら。行ったんだけど。

  まあ。次男は。何とかより、食い気の、方やから。

   途中の。道の駅で、買った。『おやき』に。満足し。

   めでたし、めでたしと。なったんだよね。おとうさん。

  今日は。きのうまでが。うそのようで。

   フライパンに、タマゴを、落とせば。火を、つかわずとも。

    目玉焼きの、できそうな。そんな、暑い、一日だったけど。

   お陰で。あの。ダムに、かかった。大きな、虹を。

    見ることが、できたんだ、ものね。おとうさん。

  きょうも。いい、思い出の、旅で。ありました。

   そうだよねえ。おとうさん。